ドレスコードは存在する
では、クルマを運転する時、裸でなければどんな格好をしていても罪には問われないのか? 服装に対する制約や規定はあるだろうか?
この点に関しても道路交通法では明確に規定していない。ただし、道路交通法の第70条では「安全運転の義務」として以下のように規定している。
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」
つまり、「ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作」できないような服装と判断された場合には、処罰を受ける可能性がある。足元の動きが制限される着物や、足からすぐに脱落する恐れのある草履やサンダル、アクセルとブレーキ操作の支障になるようなハイヒール、左右や後方の確認ができない不自然な被りモノなどは、これに該当する可能性があるので注意が必要だ。
ちなみに2019年、僧侶が檀家回りの際、僧衣を身に着けた状態で運転をしていて、福井県警に青色キップを切られたというニュースが大々的に報道された。
警察は、白衣(はくえ)の裾が両足の太もも、膝、足元に密着すると同時に、布袍(ふほう)と呼ばれる上着の両袖が垂れ下がっていたと指摘したのだ。こうした服装ではシフトレバーに袖が引っ掛かる恐れがあり、事故回避のための俊敏なブレーキ操作が行えないと判断したという(朝日新聞)。
しかし、この僧侶は反則金6000円の支払いを拒否。後日、福井県警も「証拠の確保が不十分で違反事実が確認できなかった」として、この件に関して送致しないことを決定している。
運転中の服装は一律で規制されるものではない。しかし、発生した事故の原因が明らかに着衣に起因するものであれば、事後的にその罪が問われることになる可能性は高いだろう。
いずれにせよ移動手段であるクルマは、基本的には公の場にあってはじめてその目的を果たす。であればルールとマナーが伴うことは明らか。ドライバーには常に安全と節度が求められることは皆さんすでにご承知の通りだ。
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