■長大化が進む新規格トレーラ
トレーラは、深刻化するドライバー不足を背景として近年、連結全長や第五輪荷重などを緩和する保安基準や車両制限令の見直しが行なわれ、徐々に新規格トレーラが普及し始めています。
まず、2013年にフルトレーラの連結全長が19mから21mへと緩和されました。
2年後の2015年には、セミトラクタ4×2エアサス車(2軸車)の駆動軸重が10tから11.5tに緩和されました。
それと併せて、「特例8車種」と呼ばれるセミトレーラ(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車運搬用、あおり型、スタンション型、船底型)の車両総重量を最大36tに、キングピン全長(キングピンから車両後端までの長さ)を12mから最大13mに緩和し、あわせて車両制限令の連結全長も、リヤオーバーハングの長さ条件付きでこれまでの17mから最大18mに引き上げられました。
これらの基準緩和により、物流カーゴ系のセミトレーラでは、全長を増やして荷台の容積が拡大でき、タンク型などでは従来の全長のまま、より重い積荷が運べるようになりました。
■さらに大きいダブル連結トラック
2019年初めには、特殊車両通行許可基準(特車通行許可)を特定された道路区間においてのみ緩和し、フルトレーラ連結車の連結全長を21mから25mへと緩和し、「大型トラック2台分(の輸送量)」という意味が込められた「ダブル連結トラック」の営業運行が条件付きで可能となりました。
21m超の緩和条件は、ETC2.0・ABS・車線逸脱警報などの保安装置を備えた車両、危険物・動物は積載禁止、追越し・隊列走行の禁止、運転できるドライバーにも条件を課するなど、さまざまな要件があります。
余談ですが、オーストラリアや南アフリカ共和国など海外では、さらにトレーラのバリエーションが豊富で、セミトラクタが2台以上のトレーラを牽くようなコンビネーショントレーラも走っています。
ちなみに、欧州でも現在、ダブル連結トラックと同じドライバー不足対策の一つとして、トレーラの長大化が試みられており、セミトレーラ2台分の連結全長30m超車の実証試験が行なわれており、これはもう「ダブル連結トレーラ」とでも言えるでしょう。さらに北欧では、それを上回る連結全長34.5mが認可されるに至っています。
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