2代目EP3は海外生まれ?
シビックでは2代目になるタイプRの登場は2001年。このモデルのユニークな点は、日本ではなくイギリスの工場で生産されていたことだ。2000年、ホンダはシビックをEU型にモデルチェンジしていたが、この際に日本国内販売のラインナップから3ドアモデルは姿を消していた。しかし欧州での3ドアハッチバックの人気は高く、欧州向けとしてイギリスでEP型の生産が行われていた。
EP型タイプR登場のきっかけは、欧州でシビックのステイタスを高めることにあった。そこで、ドイツのアウトバーンをはじめとする欧州の高速道路で快適に走れることを目的とした徹底的なテストが行われた。
EP3型シビック タイプRは、当初は日本国内での販売予定がなかった。しかし方針が変わって国内でもリリースされることになり、足回りなどは欧州仕様から国内の路面に適したものへとモディファイされている。
「ニュービュレットフォルム」と名付けられたタイプR専用ボディのフォルムはシャープで、サイズアップされたホイール&タイヤが見た目をさらにアップ。真っ赤なレカロ製シートやホワイトメーターなど、タイプRだけの装備も充実していた。
イギリス生産ということもあって、日本では輸入車扱いとなったEP3型シビックは、日本はもちろん、イギリスやドイツで好調なセールスを記録している。
4ドアセダンの3代目国内仕様FD2型タイプR
2005年に行われたシビックのモデルチェンジでは5ドアモデルも整理され、同車のラインナップは4ドアセダンのみに絞られた。このためタイプRの計画もなかったが、営業サイドからの要望により、急遽タイプRの開発~販売が進められることになった。
タイプRの開発にあたり、外観はノーマルのシビックからそこまで変えず、エンジンやサスペンションのメカチューンのみを行うとの案もあった。しかし、R(レーシング)を名乗るのであれば、やはりサーキットでの速さを追求するのが王道ということで、3代目シビック タイプRの目指す道は「サーキットでクラス最速の走り」に定められた。
2007年に発売されたFD2型はシビック タイプR初の4ドアセダンモデルとなった。車重の重さが機敏さを奪ってしまうことも懸念されたが、実際にはサイズの大きい4ドアボディは剛性が確保しやすく、結果としてハードなサーキット走行にも耐えられるボディ強度を得ることに成功した。
フロント/マクファーソンストラット、リア/ダブルウィッシュボーン方式のサスペンションはサーキット走行を想定してチューニングされ、実際にFD2型シビック タイプRはサーキットにおいて比類なき速さを披露した。
見た目とは裏腹に硬派な走りを見せつけたFD2型シビック タイプRは、現在でも高い評価を保っている。
欧州仕様のFN2型タイプR“ユーロ”
日本国内では4ドアセダンのFD2型がリリースされたが、3ドアハッチバックの人気の高かったヨーロッパでは、シビック タイプRも欧州仕様の「ユーロ」として販売された。
FD2型ほど尖ったチューンナップは施されていなかったが、コンパクトな車体に201psのパワフルなエンジンを搭載し、クイックな反応が持ち味の6速マニュアルトランスミッションを装備。それまで国内で販売されていたシビック タイプRの大型ウイングに比べると小ぶりなリアスポイラーも、独自の個性を感じさせた。
このFN2型シビック タイプRは、2009年から日本国内での2010台限定販売が行われ、その人気をうけて翌年に1500台が追加販売されている。
なお、このFN2型はシビック タイプRの4代目ではなく、FD2型と並行する3代目に数えられることが多い。
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