ニュル最速の4代目FK2型
FK2型と呼ばれるシビック タイプRの開発目的は明確だった。それは難コースで知られるドイツのニュルブルクリンクサーキットでクラス最速のタイムを叩き出すこと。
ニュルブルクリンクでの量産型FF車最速を実現するため、FK2型にはシビック タイプR初のターボエンジンが採用されることになった。2リッター直4エンジンはターボチャージャーで過給され、最高出力はなんと310ps。最大トルクも400Nm(40.8kgf・m)と太い。
ボディはFN2型の流れをくむもので、サーキット走行を意識してリアには大型のウイングが装着された。最高速度の追求に大型ウイングはマイナス要因にもなるが、パワフルなエンジンの効果もあって、カタログスペックの最高速度は270km/hを謳っている。
2015年、ニュルブルクリンク北コースで行われたタイムアタックでは、見事当時の量産型FF車最速の7分50秒63というコースレコードを記録。それまでルノー メガーヌRSが持っていたレコードを4秒更新している。
同年に日本国内で750台が限定発売されたFK2型シビック タイプRの車両価格は428万円と高額だったが、受注開始から注文が殺到するほどの人気モデルとなった。
5代目FK8型はシリーズ初の通年販売に
2017年初頭にホンダが公開したのが、シビック タイプRでは通算5代目になるFK8型。日本国内での正式販売が同年9月と発表されたこのモデルの注目点は、これまでのように既存のシビックをチューンナップしたものではなく、シビックのモデルチェンジに合わせて新型シビックと同時に開発されたことだった。
ベースとなったのは10代目シビックだが、タイプRの開発を並行することにより、ノーマル仕様の性能とタイプRの汎用性を高めることに成功している。
そしてまたしても、タイプRの目標にはニュルブルクリンク北コースレコード更新が掲げられた。先代の持っていた記録は2016年にフォルクスワーゲン ゴルフGTIクラブスポーツSによって破られており、これの奪還が至上命題だった。
ベース車両となった10代目シビックがシャシー剛性やサスペンション性能の向上を実現していて、それがFK8型タイプRの開発にも恩恵をもたらした。
ボディには先代で効果を発揮した構造用接着剤が用いられて動的剛性を確保。フロントサスペンションはタイプR専用のデュアルアクシスストラットが採用された。リアサスはノーマルと同様のマルチリンク式ながらアームやブッシュは専用品に変更されている。
エンジンは先代を継承する2リッター直4ターボだが、制御系の見直しによって出力特性とドライバビリティが向上した。
こうして誕生した新型FK8型シビック タイプRは2017年4月にニュルブルクリンク北コースでタイムアタックを実施し、見事コースレコードを塗り替える7分43秒80をマークした。
シビックだけじゃない! ホンダ タイプRの駿馬たち
シビックにタイプR仕様が登場したのは1997年からだが、実は「タイプR」の称号を持つホンダ製モデルはそれ以前にも存在している。
ホンダが1990年にリリースしたミドシップスポーツカーのNSXは、ノーマル仕様でも十分すぎるほどの性能を持っていたにもかかわらず、1992にタイプRモデルが登場している。
NSXタイプRはノーマルに対してマイナス120kgという大幅な軽量化が断行され、エンジンには精度を突き詰めたムービングパーツが用いられた。こうしたモディファイによって、NSXタイプRはサーキットで高い走行性能を発揮した。
NSXタイプRの好評を受けて、次にホンダが製作したのがFFスポーティモデル・インテグラのタイプRだ。1995年に3代目インテグラをベースにしたDC2&DB8型インテグラ タイプRが登場し、2001年のモデルチェンジでは新型と同時にタイプRもリリースされている。
このように「タイプR」はホンダ製高性能モデルの証であり、今回発表となった新型6代目シビック タイプRも、その系譜を担う俊足ランナーであることが期待されている。すでにその第一報はベストカーウェブでも紹介しているので、興味のある人はぜひチェックしてほしい。
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