長期間に及ぶ研究や実験、そして何より膨大な投資によって生み出される自動車の技術の数々。そのなかにはその後のメーカーの命運そのものを左右した、「ターニングポイント」と呼ぶべき重要なものも数多ある。
今回は、各メーカーが星の数ほど積み重ねてきたそんなターニングポイントのなかから、厳選してひとつずつピックアップし見ていく。
※本稿は2022年6月のものです
文/永田恵一、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年7月10日号
■トヨタ THS(トヨタ・ハイブリッドシステム、1997年)
1997年登場の初代プリウスに搭載されたTHS(トヨタハイブリッドシステム)は、「燃費向上により環境負荷を抑える」という目的で開発された2モーターハイブリッドである。
THSは「EV、FCVに応用できる部分も大いにあるつなぎのパワーユニット」という面もあった。登場後改良を重ねトヨタのコア技術として成長し続けている。
■日産 901活動(1980年代後半~)
901活動は「1990年に日産車が走行性能で世界一になっている」という目標で、1980年代後半に展開。
1980年代後半の日産車全般と思われがちだが、対象はR32スカイライン、Z32フェアレディZ、初代プリメーラ、インフィニティQ45の4台で、特にR32スカイラインのニュルやアウトバーンでのテストは後の日産車の性能向上にもつながった。
■ホンダ VTEC(1989年)
1989年登場の2代目インテグラの1.6L・DOHCに採用されたVTECは、バルブのリフト量とそのタイミングをコントロールし、低速トルクと高回転域のパワーを両立。
VTECの凄さはパワーだけでなく、1991年登場の5代目シビックのVTEC-Eのように燃費向上にも使えるという発展性の広さで、VTECは連続可変のi-VTECなど、進化が継続。
■マツダ SKYACTIV-D(2012年)
2011年の先代デミオのビッグマイチェンからSKYACTIV戦略を段階的に開始し、なかでもインパクトが強かったのが2012年登場の初代CX-5から搭載されはじめたSKYACTIV-Dだ。
低圧縮化などにより高い動力性能、ガソリン車的なフィーリングに加え、高価なNOx触媒なしですむという低価格化も実現。CX-60での進化も楽しみだ。
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