進化しすぎた緊急自動ブレーキ 10年前とは月とスッポン!?

軽自動車は6年間で「作動速度」の上限が大幅アップ

単眼カメラとミリ波レーダーを併用するN-BOXの「ホンダ センシング」。当初、軽の自動ブレーキは作動車速30km/h以下のタイプが主流だったが、それと比べると“別物”といえるほどの進化を遂げている

性能を個別に見ると、まずはシステムが作動する前提となる自車の走行速度が挙げられる。軽自動車が多く採用した赤外線レーザーは、対象物を検知できる距離が短く、作動速度の上限も各社とも前述の30km/hだった。歩行者は対象外だ。

それが今の単眼カメラと赤外線レーザーを組み合わせるタイプでは、ダイハツの作動上限速度は、車両が80km/hで歩行者が50km/h、スズキは同100km/h・60km/hに高まった。

同じ軽自動車でも、ホンダ N-BOXは単眼カメラに上級のミリ波レーダーを組み合わせるから、車両・歩行者ともに作動速度の上限は100km/hとしている。

つまり、軽自動車の緊急自動ブレーキは、わずか6年ほどの間に、作動速度の上限が車両に関しては30km/hから80km/hあるいは100km/hに向上している。カメラの併用により、歩行者の検知も可能になった。この進化はきわめて大きい。

小型/普通車については、少なくとも車両に対しては、100km/h(あるいはそれ以上)を作動上限にするタイプが増えた。

ただし日産の単眼カメラ方式、トヨタの単眼カメラ+赤外線レーザー方式は、作動上限が80km/hにとどまるから注意したい。

同じ車種でも改良前後で緊急自動ブレーキ性能は違う!

現行型ハリアーは当初、ミリ波レーダー方式の緊急自動ブレーキを採用していたが、2017年の改良でミリ波レーダーと単眼カメラを併用する「トヨタ セーフティセンス」を搭載。このように、同じ車種でも自動ブレーキ性能が改良前後で進化しているケースもある

また、トヨタの単眼カメラ+赤外線レーザー方式は、過渡期の段階にあり、歩行者対応が車種によって分かれる。

改良を受けていない車種では、歩行者に対応できない。このタイプの単眼カメラは、車線逸脱警報の車線検知などに使われる。同じトヨタセーフティセンス(現在はCとPの区分も廃止)でも性能が違う。

また、自動車事故対策機構が実施する予防安全性能アセスメントの結果を見ると、例えば現行ハリアーの前期型は、停車する車両に対する追突防止テストで、走行速度(相対速度差)が30km/hでも自動ブレーキを作動させながら追突した。これが2017年の改良後は、50km/hでも追突を回避している。

このように緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は、目下のところ日進月歩で、車種による性能の格差も大きい。今のところ緊急自動ブレーキには明確な基準もなく、性能の実態が分かりにくくなっている。

従って危険回避性能にこだわるのであれば、緊急自動ブレーキの性能を高めた設計の新しい車種を選ぶと良い。面倒だが、各車のウェブサイトの安全装備に関する記述を読むと、細かな文字で作動上限速度とか、歩行者への対応が記載されている。

また各車種のプレスリリース(メーカーの報道発表資料)にも、安全装備の進化があれば記載される。今は同じメーカーでも、車種の新旧などによって緊急自動ブレーキの性能に差があるので、細かく確認したい。

それでも総じて設計の新しい車種は緊急自動ブレーキの性能が優れており、以前とは違う新型車を買う新たなメリットになっている。

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