風前の灯火……だが、3ペダルMT車が細々と残っているワケとは? MT車好きの安東アナが熱弁!!

■運転するという行為そのものが好き

 私は頻繁にクルマ系ユーチューバーさんの動画を観て楽しんでいるのですが、私の年代では珍しく、チューニングしたバリバリのスポーツカーやスーパーカーなどの「オジサン系?」ユーチューバーよりも、ゆったりと古くて小さいMTのクルマに乗って、各地を運転して巡っているような方の動画を観るのが好きなんです。ですので、特にそんな風に感じているのかもしれません。

 私自身、ずっとMTの運転が好きで最近はサーキット走行も楽しむようになりましたが、女性にモテようと思ってクルマを選んだことはありませんし、肩肘張ってMTを選んだこともありません。

 ただ、その行為が好きで好きでたまらないので、少なくともスポーツできるクルマや小さめのクルマを選ぶ場合、自然とMTのクルマにしか興味が湧かなかった、ということです。

■メーカーとして「MTを推す」最後のチャンス!?

新型日産 フェアレディZ。試乗では9速ATの評判が上々だが、もちろん6速MTも設定
新型日産 フェアレディZ。試乗では9速ATの評判が上々だが、もちろん6速MTも設定

 別に若ぶるつもりはありませんが、お酒も飲めないので「とりあえずビール」もなじめなかったですし、バブル期でもブランドものの服にも興味はなかったですし、クルマの運転をひたすら楽しんでいただけですので、最近の若い方の価値観にも何も違和感を覚えません。

 クルマ離れも、これだけ経済的な負担が大きかったら、そりゃ乗れません。ましてや、若い方はクルマで女性にモテようとも思いませんし、実際に、少なくとも都市部では女性にとってクルマに訴求力はないですから(笑)。

 ですから、ここにきてのMTの復権は、以前からクルマ好きであるオジサンたちが、「ここで買っておかないとあの楽しさを味わうことができなくなる」という危機感を持っていることにメーカーが気付いて最後の花火を上げてくれているという側面がまずひとつ。

 また、ある程度若いユーザーには、「実はMTの運転というものにはクルマを操る根源的な楽しさがあるんですよ」という提案ができる最後のチャンスにメーカーがかけている、という側面の二通りがあると私なりに想像しています。

■近年のMTラッシュはメーカーからのプレゼント

 私にとってMTの運転は楽しい、というのが当たり前すぎて、むしろ、これまでなぜメーカーもユーザーに訴求してこなかったのか不思議でしたが、やはりなくなってしまう、という危機感でもないと、選択肢に上がらないという判断は正しかったのかもしれません。

 ですからトヨタは、もはや自社のみで大パワーエンジンに組み合わせるMTは作れなくなっており、今回のGRスープラのMTはBMW M4用のギアをトヨタが味付けしてスープラに載せているということです。それでも大歓迎で、トヨタからの大きなプレゼントと私はとらえています。

 また、日産の新型フェアレディZのMTは自社製で、気持ちのいいシフトフィールでした。しかし、「もう少しスポーツカーらしくシフトストローク、またクラッチのストロークも短めのほうが嬉しかった」というのが私の感想でした。

 が、これも、このスペックのエンジンだと世界的にもMTのモデルを探すのは苦労しますので、日産からの最後の? プレゼントと言っていいでしょう。

 この2台は私と同世代か、それ以上の、最後にMTのクルマを買っておこうというユーザーにフィットするでしょう。

■ロードスターを凌駕するシビックのMTフィール

ホンダ シビック。「ペダルレイアウトが完璧なうえに1.5Lのターボエンジンはトルクフルで、MTで操る最高のスポーツカー」とアンディも絶賛
ホンダ シビック。「ペダルレイアウトが完璧なうえに1.5Lのターボエンジンはトルクフルで、MTで操る最高のスポーツカー」とアンディも絶賛

 そして、そのどちらのユーザーにも刺さるのがホンダのシビックのMTモデルだと私は考えています。

 正直、それまで日本車では一番のシフトフィールだと考えていたマツダのロードスターを凌駕するフィールに、驚愕と歓喜を禁じえませんでした。

 ロードスターはシフトフィールこそいいものの、ペダルレイアウトが外側に偏っており、若干、運転姿勢が窮屈だったのですが、シビックはフィール、ペダルレイアウトが完璧なうえに1.5Lのターボエンジンはロードスターの1.5LNAよりトルクフルで、MTで操る最高のスポーツカーでもあったのです。

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