たった2発でロシアのミサイル巡洋艦を沈没させたミサイルとは? 自衛隊の対艦ミサイル装備は?

■国産 超音速対艦ミサイルASM-3とは?

 ASM-3は2018年に開発が完了した空対艦ミサイルで、2021年から取得が開始されたASM-3Aと開発がすすめられている射程延長型のASM-3(改)がある。

 ASM-3は堅固な防空能力を有する現代の戦闘艦艇を撃破するために開発された超音速対艦ミサイルだ。マッハ3を上回る速度で飛翔、飛翔モードは、高高度を巡航飛翔し目標直前で超低高度飛翔に移るパターンと発射から命中まで超低高度で飛翔するシースキミングのパターンがある。中間誘導は慣性航法装置とGPS、終末誘導はアクティブレーダーホーミング/パッシブレーダーホーミング複合誘導が使われ、電子妨害を受けず目標に確実に命中するようになっている。またミサイルの形状もステルス性が考慮されている。

 ASM-3の最大の特徴は、固体燃料式ロケットブースターにラムジェットエンジンを組み合わせたインテグラル・ロケット・ラムジェット(固体ロケット・ラムジェット統合推進システム)を推進方式に採用していること。

インテグラル・ロケット・ラムジェットの仕組み
インテグラル・ロケット・ラムジェットの仕組み

 ASM-3は開発当初、中国海軍の軍艦に対しても十分対応できると考えられていたが、高性能化が著しい052C/D型や055型駆逐艦の装備する中華神盾(中国版イージスシステム)の防空能力には対応できないことが判明した。そこでさらなる射程の延長(400km以上)とマッハ5を超える極超音速で飛翔するように改良されるのがASM-3(改)である。開発は2019年度から始まっており2025年度までに開発が完了する予定だ。

 最終的にASM-3は量産されず、ASM-3(改)の開発過程で獲得した機能を反映させたASM-3Aが量産されることになり、2021年度の予算に計上されている。

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