豊田社長の指示は「RXを壊してくれ!」
もともとレクサスRXが世界市場で人気モデルになった理由は、1998年にデビューしたとき、それまで世界中の自動車メーカーが手がけていなかった「ラグジュアリーSUV市場」という新しいマーケットのパイオニアとして参入したことに始まる。
読みは当たり、レクサスRXはたちまち世界市場でベストセラーになった。RXの販売好調で、欧米の自動車メーカーがこのカテゴリーに次々とニューモデルを投入してきたのは語り草になっている。
さらに2005年には、このクラスとしては世界初のハイブリッドモデルも投入したことで、RXの名がさらに高まったのだ。
ちなみに2021年1-12月の販売実績の国別では、1位のアメリカが約11万台、2位中国が約5万台、3位の日本が約1万台となっている。
支持されている理由を「優れた静粛性と乗り心地、独自のスタイリング、とくに後席居住性やトランクスペースの空間の広さが好評です。ユーザー層も男性だけでなく、女性、ヤングファミリーにも受け入れられている」とレクサスは分析している。まさに5代目RXはこの路線に沿って開発されたのだ。
さらに注目したいのは大野貴明チーフエンジニアの言葉だ。「5代目となる今回、”運転が楽しいという喜びをより多くのお客様に届けたいという想いのもと、守りに入らず、変革に挑戦した」。つまりRXというラグジュアリーSUVにも、運転の楽しさを追求したクルマづくりを行なっているのだ。
この新しい開発目標が揚げられたのには理由がある。「社長の豊田から“RXを壊してくれ”という言葉が開発陣に投げかけられました。この言葉で、守りに入らず変革に挑戦したクルマづくりに向かったのです」(レクサス広報)。
売れているからといって先代を踏襲するのではなく、売れているからこそ新しいチャレンジをする。まさに“章男イズム”だ。
ハリアーのユーザーとは重複しない
その成果ということかもしれないが、5代目RXのラインナップを見ると、新しい動きが見られる。それが頂点に位置するRX500h F SPORT Performanceのパワートレインだ。
高トルクな2.4Lターボとモーターによるフロントユニット、リア搭載の高出力モーター「eAXLE」を組み合わせた新しいユニットに4輪駆動制御を投入。前後輪の駆動力配分を調節しながら走行するスポーツモデルとなっている。
サスペンションも見直された。ブレーキにも対向6ピストンキャリパーが奢られたうえ、コーナーやレーンチェンジの際に安定感を増す4輪操舵システムも搭載された。まさに“走る楽しさ”を実現するための仕掛けが満載のSUVに仕上がっている。
発売は今秋なので、まだプロトタイプモデルの試乗もかなわないが、RX500h F SPORT Performanceの走りは、スピード、コーナリングなどで、おそらく欧州のライバルと比較しても劣るどころか、勝っているに違いない。
プロトタイプだけでの印象だが、インテリアのクオリティも、サスティナブルに気を使いながら、ハイクオリティを維持している。同じトヨタのハリアーとはほぼ同じサイズだが、価格差は150万円ほど違う。
このことに関してだが、レクサスRXとトヨタ ハリアーのユーザーに取材してみるとお互いに気になる存在ではないのだ。当然購入にあたって比較することもない。なので、2車の価格差を言うのは意味がなかった。
ただしレクサスのクオリティとディーラーを含めたホスピタリティを体感してしまうと、この価格差も気にならなくなってしまうというのが実感だ。
これまで以上に進化した新型RXはおそらく世界の市場でヒット作になることは間違いない。新型も世界の人たちに愛され続けるSUVになる。
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