EV戦略で後れを取る日本メーカー!! 日本車大国インドネシアで忍び寄る「中韓メーカー」の影!!

コロナを越えて台頭する「中韓」の影!! インドネシア・GIIASに見る日本車の斜陽

 2022年8月11日~21日の会期で、インドネシアにおいてGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)が開催された。

 インドネシアでは毎年行われているが、他にも同じように毎年開催されているIIMSインドネシア国際モーターショー(2022年は3月31日~4月10日開催)があり、インドネシアにおける自動車産業の重要性を表している。

 インドネシアでは、タイなどと同様に国内のシェアのほとんどを日本車が占めている。そのためショーは日本車中心の展示となるのだが、2022年は少し様子が変わっていたという。

文、写真/小林敦志

【画像ギャラリー】やはりあなどれない!! ガイキンド・インドネシア国際オートショーで存在感を増す中韓自動車メーカー(3枚)画像ギャラリー

■インドネシア国内では変わらず日本車を見かけたが……

ヒョンデ アイオニック5。街頭やショーブースでも相変わらず目立っていた日本車を脅かすように、中韓の自動車メーカーの存在感が強くなっていた

 往時に比べると、その勢いや存在感が世界市場において低下しているように見えるのが日本車。しかし、東南アジアに限ってみれば、その勢いや存在感はまだまだ高い。

 今回訪れたインドネシアでもGAIKINDO(ガイキンド/インドネシア自動車工業会)統計による2022年1月から7月のインドネシア国内における新車総販売台数は56万1287台、そのなかでの日本車の販売シェアを計算してみると実に約93%となった。

 そうインドネシア国内は日本車ばかりが街中を走っていることになる。

 コロナ禍の2020年を除き毎年開催されているGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)の会場内もコロナ禍前まではトヨタやホンダ、スズキ、三菱など日本メーカーが広大なブースを構えひと際目立っていたのだが……。

 コロナ禍後初めて訪れた会場だが、乗用車ブランドの展示ブース面積全体が拡充されており、相変わらずトヨタやホンダ、スズキ、三菱などが広大なブースを構えている。

 日本メーカーがショーの主役のようにも見えたのだが、どこか存在が薄くなっているような気がした。そのように感じた最大の理由は韓国及び中国メーカーの存在感が強くなっていたことにある。

 韓国ヒョンデ(ヒュンダイ)はコロナ禍前もショーにブースを構えていたが、それはかなり小規模なものであった。しかし、今回はインドネシアで最大の販売シェアを誇るトヨタブランドブースの対面に、トヨタブランド並みの広いブースを構えていた。

■EVというジャンルにおいて優位性が高い中韓メーカー

格安EVで衝撃を与えた宏光MINIEVを送り出した上汽通用五菱が発表した「AirEV」

 中国系では、コロナ禍前にインドネシアに進出していた乗用車ブランドはウーリン(上海通用五菱汽車)とDFSK(東風小康汽車)のみであったが、今回訪れるとMG(上海汽車)とチェリー(奇瑞汽車)が新たにブースを構えていた(奇瑞は再進出)。

 ヒョンデについては現地生産工場が稼働したばかりということで、“景気づけ”ということもあったのかもしれないが、それだけではないようだ。

 2022年春に、コロナ禍となって初の海外ショー取材ということで、タイのバンコクモーターショーに出かけた。バンコク市内は少し目抜き通りをウォッチしていれば、中国メーカーのBEV(バッテリー電気自動車)をほどなく見かけることができるほどBEVが普及している。

 それもあるのか、ショー会場内ではBEVを得意とし、すでにタイで積極的に販売しているGWM(長城汽車)やMG(上海汽車)といった中国系メーカーが話題をさらっていた。

 そのなかで一般乗用車はもとより、バンコク市内ではタクシーや救急車までがエアロパーツなどでドレスアップしているので、そのことをタイの現地事情通に話すと、

 「BEVが目立ってきたとはいえ、まだまだタイではBEVが苦手な日本車が圧倒的な販売シェアを誇っています。しかし、実際売れている車種をみると非常に限定的となっています。そこで他人と差別化したいという意識からドレスアップを熱心に行う人が多いようです」と答えてくれた。

 この“選択肢が少ない”というニュアンスの言葉を今回インドネシアで同行してくれていた事情通からも、インドネシアにおいても日本車は圧倒的な販売シェアを誇るが“選択肢が少ない”と同じように聞くことができた。

 トヨタの現地ウエブサイトに掲載されている乗用車の車種数は数えてみると22車種あるが、そのうちジャカルタやその近郊で筆者が感じた範囲では頻繁に見かけたトヨタの乗用車は5台程度であった。

 日本市場でもよく考えれば頻繁に見かけるトヨタ車はそれほど車種数が多くないが、まだまだ伸びしろのあるインドネシア市場で90%以上という圧倒的シェアを誇っていても、見える風景は日本とはあまり変わらないのが現状ともいえよう。

 つまり、いままではとにかく“四輪車に乗りたい”として、インドネシアの自動車市場は成長してきたのだが、その成長過程でジャカルタなどの大都市を中心に消費者が“他人とは違うものに乗りたい”という市場が成長して新たなフェーズに入ってきたというのが、前述した事情通のコメントを聞き、筆者もそれを感じた。

 そして“他人と違うクルマ”というニーズが、いままでは購買対象としてはあまり見向きもされてこなかった韓国や中国車に光があたるようになってきたようだ。ここ数年で、韓国車も中国車も魅力を増したモデルを多く市場投入しており、さらにインドネシア政府も電動車普及に積極姿勢を見せている。

 その点では日本メーカーに対し世界的にも優位性が高いので、韓国、中国メーカーもタイミングを逃さずに“勝機あり”との判断で動いているように見える。

次ページは : ■BEVで出遅れる日本……新興メーカーにとっては恰好の「攻め時」か

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