クルマのリコールのニュースを目にする機会も多いと思うが、実はすべてのリコールが大きく報道されるとは限らないのだ。
国土交通省の統計を見ると、近年におけるリコールの届出数は国産車、輸入車を合わせると年間300~400件にも及ぶ。新旧問わず、さまざまなクルマがリコールの対象となっているいっぽう、自らの愛車がリコール対象車かどうか意識したことがある人は少ないのではないだろうか。
今回はそんな決して珍しいものではないにもかかわらず、あまり知られていないリコールについてと、愛車がリコール対象となってしまった時の対処法などを解説していく。今はトラブルなく走っている愛車もリコールの対象となる可能性はある。万一の時のために知っておいて損はないリコールの基礎知識を解説していこう。
文/入江 凱、写真/写真AC
【画像ギャラリー】他人事じゃない!! ある日突然、愛車がリコール対象車になったらどうする?(9枚)画像ギャラリーそもそもリコールってどういうこと?
まずはクルマにおけるリコール制度について整理しよう。日本ではクルマの構造、装置に関して安全性や環境性能を確保するための保安基準というものが道路運送車両法によって定められている。そして、設計・製造段階に原因がある不具合によってこの保安基準に適合していない、または適合しなくなる恐れがあるとメーカーが判断した場合に、国土交通大臣に事前届出をしたうえで無償での回収・修理を行う制度がリコールだ。
特にクルマはさまざまな条件下で、さらに長期間に渡る使用が想定されるうえ、ちょっとした不具合でも命に直結するトラブルにもなりうる。そのため、リコールを行うべき不具合があるにもかかわらずメーカーが隠蔽したり、自主的にリコールを行わなかった場合には罰則も設けられている。このリコール制度のおかげでメーカーが製品を売りっぱなしにしたりせず、消費者も安心して購入することができるということだ。
また、「改善対策」、「サービスキャンペーン」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないだろうか。これらは設計・製造段階に起因する不具合に対し、費用をメーカーが負担して無償の回収・修理を行う点ではリコールと同じなのだが、リコールとは不具合箇所の重要度が異なってくる。
重要度の高い順に、保安基準に規定されている内容に抵触しており、放置すると重大な事故につながる可能性のある不具合が発覚した場合は「リコール」、保安基準に規定はされていないが看過できない不具合が発覚した場合は「改善対策」、リコールや改善対策には該当しないレベルの不具合が発覚した場合は「サービスキャンペーン」として無償の回収・修理を実施することになる。
リコールや改善対策はもちろん、安全性には直結しないサービスキャンペーンであっても、そのまま乗り続ければ不便や不快な思いをすることは間違いないため、愛車が対象になった場合は速やかに修理を依頼しよう。
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