■売れたクルマもたまにはあった
「クラウン以外だいたい沈没」と銘打っている本企画だが、もちろん、売れたクルマも(たまには)あった。
特に印象深いのは初代シーマ。下の清水草一氏のコラムにも出てくるクルマだが、とにかくインパクトが強く、みんな競って買い求める「シーマ現象」なる言葉も生まれたくらいだった。あの奇跡は二度とこないのだろうか……。
●NISSAN Y31型セドリック/グロリア
スポーティさを前面に押し出し、クラウンを猛追!
1987年6月に登場。セド/グロの歴史で初めて4輪独立サスペンションを採用し、スポーティな走りが自慢だった。特にグランツーリスモは当時の走り屋オジサンに大人気となり、イメージアップに貢献。
●MITSUBISHI 初代ディアマンテ
減税の神風に乗り、3ナンバー専用車で大ヒット!
全幅1775mmの3ナンバー専用ボディで1990年に登場。自動車税の見直しにより3、5ナンバーではなく排気量で税額が決まるようになったのも追い風としてヒット車となった。V6、2L、2.5L、3Lの細かなエンジンラインナップを用意して価格帯を幅広くし、ユーザー層を広げたのも奏功。また、4WSを採用するなど技術的にも見どころの多いクルマだったのもよかった
●TOYOTA 2代目アリスト
3Lターボのパワーで血気盛んなおやじのハートをわしづかみ!
80スープラと同じ直6、3Lターボ、280psエンジンを搭載したハイウェイスター。当時の奥田社長が「アリストで200km/hでぶっ飛ばす」と言って広報があせったという都市伝説も残る高級セダンだ。よく売れました。
●NISSAN 初代シーマ
500万円でも飛ぶように売れたバブルの申し子
1988年1月、昭和の最後に誕生した伝説の高級セダン。V6、3LのNAとターボを搭載し、ターボは255psと当時としてはスポーツカー級のパワーを誇った。ライバルはクラウンではなくソアラだったという説もある。
【番外コラム】クラウン以外で最も萌えたニッポンの高級車
(TEXT/清水草一)
レクサスLSもGSも、萌えを感じることはなかったし、もちろんセドリック/グロリアやフーガも同様。ただ一台、これはスゲエなと思ったのは、初代シーマだけだ。
なにしろ、バブルの頂点へと向かう時期に出たという、時代背景がデカかった。
当時のクラウンはまだ5ナンバーサイズに縛られていたし、そのほかの国産高級車もすべてそうだったんだけど、そんななか、全幅1770mmの、バブルのようにぶわーっとふくらんだ国産高級セダンが登場したんだから。エンジンは3L、V6ターボで当時としては猛烈にパワフルだったしさ。
私は「これは大仏だな」と思いましたよ。聖武天皇が造らせた奈良の大仏様。飢饉が打ち続くなか、それを仏の慈悲で乗り切ろうと、逆に民を苦しめまくって造った黄金の廬舎那仏。なんとなく「こんなの出していいの?」とおびえつつ、えもいわれぬ高揚を感じたものです。
実際走ると、高速ではフラフラしちゃって、スタビリティが低くて参ったけど、そんなことより大仏様の存在感がはるかに上回っておりました。
あと1台挙げるとすると、初代デボネアですかね? あんなアメ車もどきの高級車を、1986年まで作ってたんだもん。昔、あれのハイヤーに乗る機会があったんだけど、メーターはじめ、すべてがあまりに時代遅れだったことに「すげえ!」と萌えました。
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