世界的に環境への意識が高まりを見せるなか、タイヤについても、走りを重視したスポーツタイヤは影を潜め、燃費を重視した低燃費タイヤが主力となっています。
しかし、低燃費タイヤは普通のタイヤよりも少し高いことから、低燃費タイヤへの履き替えをためらっている人もいるでしょう。別名「エコタイヤ」ともいわれる「低燃費タイヤ」とはなにか、普通のタイヤとどう違うのか、ご紹介します。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Supachai
写真:Adobe Stock、写真AC イラスト:Mr.ソラン
転がり抵抗が小さいのにウェットグリップが高いタイヤ
低燃費タイヤは、燃費が良くて、安全性が一定レベル以上の性能を持つタイヤのこと。JATMA(日本自動車タイヤ協会)が定めたグレーディング(等級)によって、低燃費(転がり抵抗性能)と安全性(ウェットグリップ性能)のレベルが一定以上のレベルにあるタイヤとして定義されています。
転がり抵抗性能とウェットグリップ性能の詳細については後述しますが、JATMAのタイヤ・グレーティング制度は、日本では2010年から始まりました。カーショップなどでは、タイヤに「A-d」とか「AA-b」と表記されていますが、大文字のアルファベットが転がり抵抗性能、小文字のアルファベットがウェットグリップ性能を示します。
転がり抵抗性能は、AAA、AA、A、B、Cの5ランクで等級化され、AAAが最も転がり抵抗係数が小さく、タイヤが転がり易くて燃費がいいことを表します。一方のウェットグリップ性能は、a、b、c、dの4ランクで等級化され、aが最もウェットグリップ力が強く、クルマが止まりやすいことを表します。「低燃費タイヤ」は、転がり抵抗性能がAランク以上のAAA、AA、Aで、かつウェットグリップ性能がa、b、c、dに入っているタイヤです。
転がり抵抗の低減とウェットグリップの強化は相反関係
タイヤは、路面との間で発生する摩擦力(グリップ力)によって回転し、クルマを走らせたり、曲げたり、止めたりします。しかしそのグリップ力は、転がり抵抗となって、燃費を悪化させる要因でもあります。言い換えると、転がり抵抗を低減することは、グリップ力を弱めることに他ならない、転がり抵抗低減とグリップ力の強化は、相反関係にあるのです。
低燃費タイヤが、転がり抵抗係数だけでなく、特にグリップ力が求められる濡れた路面でも確実に止まれるウェットグリップ性能も指標となっているのは、こうした理由からです。
コメント
コメントの使い方すごく勉強になる記事でした!相関関係は分かっていても、その詳しい理由は知らなかったことに気付かされました