また静岡県の幼稚園が所有する幼稚園バスで不幸な事件が起こってしまった。ネット上では悲しみや怒りとともに、自身が保護する子女に自己防衛のための対策を教えたという内容までがアップされ話題になっているようだ。
何はともあれ、幼稚園職員、ドライバーが毎乗車・降車時に“降車残し”がないか、徹底的に車内チェックするというのは基本中の基本。これを怠っていなければ、こんな事故はありえない。路線バスの運転士も終点では“降車残し”さらには忘れ物はないか、など、車内点検は車内を歩いて指差し確認をして行っている。
バスマガジンWEB編集部ではそんな保護者のために子女に教えるべき対策や仕組みについていくつか紹介する。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】保護する子女に教える幼稚園バスの閉じ込め対策(6枚)画像ギャラリークラクションを鳴らし方を教える
まず幼稚園バスに取り残された子供が取る対策として教えるのは警笛、つまりクラクションを鳴らすことだろう。車にお乗りの方はご存じだろうが、幼稚園バスに限らず自動車の警笛は、キーを差していなくても、またエンジンを始動していなくても鳴らすことができる。
そこで幼稚園バスに取り残されたと感じた場合は運転席に行き、躊躇せずハンドルにあるラッパのマークを強く押して警笛を吹鳴させるように教えておくのは非常に効果的だ。
かなり大きな音が鳴るが、車のある家庭では周囲の迷惑にならない場所で実際に鳴らして慣れさせることだ。最近の警笛は結構な力が必要なので、それも体感で覚えさせるとよい。だれかが助けに来るまで連続してまたは断続的に鳴らすことを教えよう。
手の力で不十分な際は足を使って鳴らす方法もあるが、これができるかどうかは車の構造や子供の年齢にもよるだろう。
またバスは窓が大きため、サイズを問わずバスの車内温度は乗用車以上にシビアだ。今回の事故のように真夏の場合は外気32℃、車内50℃などということは普通にある。また冬季なら外気とほぼ同じ寒さにもなるので、それだけで命の危険があるわけだ。それだけに外部への連絡・伝達は重要だ。
非常口は外からも開けることができる
幼稚園専用バスには法令により必ず非常口扉が後方に設置されている。最近は少子化の影響なのか、幼稚園バスにマイクロバスではなくハイエース等のワンボックスカーを使用する例も増えてきているが、それでも幼児専用バスには保安基準で非常口扉の設置が義務付けられているので、保護者は子女を送迎する際には後方を確認していただきたい。
非常口扉は内側からロックを解除し開けられる。もちろん園児にはこの操作は難しいと思われるが、高学年の児童なら車種により異なるがカバーを外してレバーを倒せば開けられる可能性が高い。これは路線バス等の大型バスの非常口扉と仕組みは同じだ。警笛よりも難易度は高いが、たいていは2つの手順で開くので覚えさせたい。
ここまでやれば幼稚園の職員が気が付かないわけはないが、もし通りがかった一般の人が閉じ込められた園児に気が付いた場合は、後方の非常口扉を外から開けて救出することができることも知っておきたい。
たいてい外側には透明なカバーが付いているが、これは簡単に破れるので、そのうえで赤いレバーを倒すと外側から非常口扉を開けられる。ワンボックスタイプの場合は内側とレバーが共用の場合が多い。マイクロバスの場合は大型車と同様に独立したレバーであることが多いが手順は同じだ。これで救出は可能だ。