■伸び悩みながらもコンパクトカー需要を支える三菱 ミラージュ
他社を見ると、マーチと境遇の似たコンパクトカーに三菱 ミラージュがある。初代ミラージュは、コンパクトカーの先駆けとして1978年に発売された。当時は若年層のクルマに対する関心が高くヒット作になった。
1987年に登場した3代目のミラージュは、スポーツモデルを含めて、幅広いグレード構成で人気を高めたが、2000年に5代目が一度終了している。当時のミラージュは、カローラに相当する車種でランサーの姉妹車だったから、合理化のためにランサーセディアと統合された。
この後、日産ノートやホンダフィットに相当するコンパクトカーとして、三菱は2002年にコルトを発売している。これが2012年に終了して、後継車種として、同年に設定されたのが現在のミラージュだ。
ミラージュも売れ行きが伸び悩む。コロナ禍が問題視される前の2019年で、1か月平均登録台数は約270台だ。マーチの約800台と比べても少ないが、三菱の店舗数は日産の約25%だから、1店舗当たりの売れ行きは同程度になる。
ミラージュもタイで生産される輸入車で、クルマ造りもマーチに似ている。内装は上質とはいえず、乗り心地に粗さが伴って後席は狭い。今のコンパクトカーは全般的に質を高めたから、ミラージュは差を付けられた。
それでも今の三菱は、コンパクトカーの車種が少ない。スズキからソリオの姉妹車として供給されるデリカD:2とミラージュだけだ。そのために今の三菱の国内販売状況を見ると、軽自動車が40%以上を占める。
つまりミラージュのサイズと価格帯(149万500円~164万4500円)は、今の三菱では軽自動車の領域に入る。それでも三菱には、日産のノートに相当する売れ筋コンパクトカーがないため、OEMではない純粋な三菱車としてミラージュが必要だ。三菱の販売店にミラージュについて尋ねると、以下のように返答した。
「法人のお客様を含めて、ミラージュを乗り継ぐお客様は多い。今は年式切り替えのために在庫車を販売しているが、今後改良版のミラージュを投入する。フルモデルチェンジの話は聞いていない」。
このように日産のマーチに比べると、ミラージュは、三菱にとって役割の重い商品になる。両車とも軽自動車にユーザーを奪われた安価なコンパクトカーという立場は共通しているが、メーカーの思惑は違う。
そしてマーチやミラージュのような求めやすい価格のベーシックなコンパクトカーは、国内市場にとって大切だ。軽自動車と同じように日産と三菱が共同開発したら、魅力的な車種が生まれるに違いない。
既に現行マーチにはNISMO、ミラージュも海外ではラリーアートが披露されており、新しいコンパクトカーのプロジェクトを立ち上げれば、クルマ好きにとって楽しい展開も期待できる。
【画像ギャラリー】細々と生き延びたが……明暗が分かれたロングセラーコンパクトカー 日産 マーチ&三菱 ミラージュ(14枚)画像ギャラリー
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