絶滅間近!! クルマ好きが愛するFR車が減少して…と思ったら復活の可能性大? なんで???

車室空間の広さや低燃費、低コストなど実用面で優れるFF車

 FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車の最大の特徴は、前輪が駆動力と操舵の両方を担っていることです。そのため、エンジンとトランスミッション、デフなどがエンジンルームに集約でき、またFR車のようにプロペラシャフトを室内下に通す必要がないので広い室内空間が確保できます。

 また、前輪でクルマを引っ張るようにして走行するので直進性に優れ、駆動輪である前輪にかかる荷重が大きいためにグリップ力が強く、悪路や雪路でも滑りにくいという特性があります。さらに、FRに対して部品点数が少ないので、コストがかからず、燃費に優れます。

 一方デメリットは、エンジンを横置きに搭載するのでエンジンルームの左右方向の余裕がないため、大排気量エンジンのクルマだと、車幅を広く作る必要があること(最小回転半径も大きくなりがち)。また急加速時には、クルマは後ろ側が沈み込み前側が浮くので、トラクションが弱まって加速が鈍くなり、旋回時には重い前軸に強い遠心力が働き、クルマが外に膨らむアンダーステアになりやすいという特性があります。

「走りを楽しむ」クルマから、「家族が楽しめる」クルマへ

 日本車の黎明期には、FR車が主流でしたが、本格的なモータリゼーションが起こった1970年代から、徐々にFF化が進みました。ただFF車は、駆動と操舵の両方を担う前輪ドライブシャフトの開発に時間を要したため、初期のFF車はハンドルが重かったり、まっすぐ走らないなどの課題がありました。

 その後、FF車の操舵性や信頼性の改良が進み、マイカーブームによってクルマが一家に一台の時代が到来。クルマが家族のレジャーの中心となったため、走りを楽しむFR車でなく、車室が広く家族みんなが楽しめるFF車が人気となりました。

 1980年代に入ると、FF化の流れは急速に進み、「シビック」や「カローラ」、「サニー」といった人気モデルが次々とFFに変更。さらに2000年代に入ると、メーカーにとって燃費性能やコスト低減が重要命題となったので、小型車だけでなく中・大型モデルでもFFが採用されるようになり、主流はFR車からFF車へと完全に移行しました。

FR車は一定の割合で存続するが、4WD化が加速する可能性も

 FF車主流の中にあって、数は少ないながら、現在も「フェアレディZ」や「スープラ」「BRZ /GR86」などの高性能スポーツモデルや「センチュリー」「レクサスLS」「スカイライン」など高級セダンの一部は、FRを採用しています。海外では、メルセデス・ベンツ(Cクラス以上)やBMW(一部の2シリーズ以上)など、まだ多くのFR車が設定されています。

 一部の高性能スポーツモデルと高級セダンが、現在主流のFFを採用しない理由は、3つあります。ひとつは、スペース的に大排気量エンジンが搭載し難いこと、ふたつめは、急加速やアンダーステアなどによって運動性能が制限されること。もうひとつは、横置きエンジン特有の前後振動が発生しやすいため、高級車としてふさわしくないからです。

 今後もFR車は、数は減らしながらも、一定の割合で存続すると思われます。また、FR車が減ったぶんは、FF車ではなく、4WD車が伸びてくると思われます。

 かつての4WD車は、悪路に強いクルマというイメージでしたが、現在は高速走行でもその良さが認められ、500PSを超えるようなスーパースポーツの多くは4WDを採用し、フェラーリやランボルギーニなどは積極的に4WDモデルを展開しています。スポーツモデルで運転を楽しむ、安全性を担保するなら、FRからFFでなく、4WDへと切り替わってくるのではないでしょうか。

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