BEVでは、前輪駆動でなく後輪駆動が主流
エンジン車におけるFR車とFF車では、200kgを超えるようなパワートレインがフロントに搭載される状態で駆動軸が後ろ(FR)か、前(FF)かによって、クルマのさまざまな性能の違いや優位性が発生します。しかし、BEV(バッテリーEV)の場合、モーターは小さく重量も50kg程度と軽く、200kgを超えるような重量物のバッテリーは車体中央の床下に搭載されています。
したがって、BEVではガソリン車のFRやFFといった概念そのものが意味を持ちません。あえてエンジン車の表現を使えば、日産のBEV「リーフ」は前輪駆動なのでMF(ミッドシップエンジン・フロントドライブ)となります。
リーフは前輪駆動ですが、BEVでは後輪駆動または4WDが主流となっています。これは、BEVはエンジンがないのでパッケージング上の優劣が解消されること。また、BEVの持つ加速性の良さを生かすためには、運動性能に優れる後輪駆動の方が適しているからです。例えば後輪駆動のBEVである「ホンダe」は、フロントサイドメンバーの隙間を狭めてタイヤの切れ角を大きくとったことで、最小回転半径は驚異の4.3メートルと、軽自動車並みを達成しています。
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技術進化と、クルマに実用性や環境対応などが求められるようになったことで、ごく一部の走りを楽しむFR車は残りましたが、乗用車としてのFR車は激減し、FF車が主流となりました。しかし、エンジンがないBEV化が進むと、前輪駆動と後輪駆動のパッケージング上の優劣がなくなるので、運動性能に優れてBEVとの相性が良い後輪駆動、4WDが主流となると思われます。
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コメント
コメントの使い方FRはスポーツモデルで必ず生き残ると思いますし、それ以外では残す理由はなくなっています。
FRの特徴の一つである後席の乗り心地や、街乗りレベルでのハンドルの軽快さは、もうFFやAWDでも匹敵するようになり、優位性は消えました。プロが乗り比べて分からない程なのですから。
一方でサーキットレベルでの動的質感や楽しさは今もFRにしかない物があり、それが求められる限り存続するはずです。