世界累計販売台数はなんと5,000万台超、トヨタが誇るメガブランド、トヨタ「カローラシリーズ」。世界150カ国以上で販売されており、セダンやワゴン、ハッチバック、SUV、国によっては車幅を拡げたモデルなど、多種多様なスタイリングでラインアップされている。
カローラの基本ボディといえばセダンだが、これまでには、様々なボディバリエーションが登場している。「時代の声に応じて変わり続けること」で生き残ってきたカローラシリーズから、個性的な3車種を振り返ってみよう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
なす型ボディが特徴!! 「カローラスパシオ」
1997年に登場した、初代カローラスパシオ。お笑い芸人の「爆笑問題」のテレビCMが印象的だったカローラスパシオは、フロント部分にはカローラの面影が若干あったものの、その姿はまるで茄子のようにぷっくりとしたスタイル。当時流行のミニバンよりもコンパクトだが、背が高いトールワゴンであり、十分に荷物を載せることができた。3列目シートのあるグレードも用意されていたが、全長4.2mと短いカローラスパシオでは、3列目はかなり窮屈にならざるを得ず、実用性は皆無だった。
2001年5月には2代目へとフルモデルチェンジ。全長は10cmほど伸ばして4.3mとしたことで、3列目の空間を改良。俳優の豊川悦司さんと夏帆さんによるテレビCMでは、娘の友達たちをいれた7人が3列シートのスパシオへ全員乗り込むシーンを流し、課題を解消したことをアピールしていた。2代目カローラスパシオは、2007年6月まで販売された。
セダンやハッチバックといった正統派スタイルが多かったカローラ像から逸脱し、トールワゴンとなったカローラスパシオは、シリーズの中でも、異端児的な存在であった。
ちょっと大きめで角ばったボディが特徴的だった「カローラルミオン」
カローラスパシオと入れ替わるかたちで、2007年に登場したのがカローラルミオンだ。丸いボディだったスパシオから一転、2000年代当時に大流行していた日産キューブのような角ばったボディと、トールワゴンの組み合わせで登場、キャッチフレーズは、「ゴツンとルミオン」だ。
カローラルミオンは、北米市場の若者向けの低価格ブランド「サイオン」で「xB」として販売するようにつくられたモデルであり、そのため全幅は1760mmと3ナンバーサイズ。プラットフォームもカローラよりもちょっと大きい、オーリスをベースとしていた。全長も4.2mと、同社で同時期に販売されていた「bB(2000年~2016年)」よりも40cmほど長く、そのぶん2列目シートも余裕があった。
エアロパーツでキメた「エアロツアラー」のスタイリングはなかなかカッコよかったが、ボディの大きさの割に、3列目シートがないこと(使われなくとも用意すべきだった)、後席ドアがヒンジ式だったことなど、3列シートミニバンには敵わず、いまいち人気の波に乗れなかった佳作カローラでもあった。
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