なぜ新燃費基準「WLTCモード」導入で車選びが変わるのか?

■WLTCモードの導入はECOカー減税にも影響を与える??

現在のECOカー減税の制度の有効期間は1年。つまり、2019年の3月までとなっている。来年度に関してはECOカー減税を続けるかどうかも含めて未定の状態だ。国土交通省はECOカーの普及は至上命題であると考えており、ECOカー減税は存続していく方向で2019年度のルール作りを進めている。

12月上旬から中旬に税制改正大綱が発表され、それに基づいて国会で予算審議をし、4月から施行される流れとなる。予算が否決されることはほとんどないため、この税制改正大綱で発表された内容が来年度のECOカー減税の内容と見てよい。

来年のエコカー減税にも影響が出るかも

現状のECOカー減税の燃費基準はJC08モードの数字を基準として作られている。2018年度は現在のルールを適用するため、10〜3月の間にメーカーが新型車にECOカー減税を適用したい場合、WLTCモードかJC08モード、どちらかの燃費の数字を提出しなければならない。

国土交通省は、WLTCモードの燃費数字も受け取るが、基準は変えないのがポイントだ。WLTCモードの燃費数字は低いため、メーカーは必然的に両方のモードの燃費を測り、JC08モードの燃費を国に申請することになる。2019年度のECOカー減税だが、WLTCモードの数値で燃費基準が作られるかは不明だ。

■WLTCモード切替でメーカーの燃費向上対策にも変化が出る?

これは当然変化する……というか、WLTCモードの走行パターンにフォーカスさせたパワートレーン開発になる。特に『燃費アピール』がウリとなるクルマの場合、いかにWLTCモード燃費を高くできるかがセールスポイントなので、当然JC08モードでそうだったように、競争は激化することになる。

ただ、WLTCモードは総合燃費のほかに市街地、郊外、高速道路と3つの走行パターンごとの燃費値も公表されるため、ユーザーは自分の使い方に即した走行モードでの燃費値を参考にすることができる。クルマ選びの指針としては従来のモード燃費と比べて活用度が高い。

WLTCモード燃費は実走行燃費にずいぶんと近い、現実的な燃費値と見ていい。つまり、WLTCモードにフォーカスさせた燃費スペシャルの開発は、実走行での燃費も高くなる可能性が大きいということだ。

PHEVの実燃費も気になるところ!

■今のところ国産車のみ 輸入車にも適用されていく?

現状、国産車しかWLTCモードの燃費数字を公表していないため、輸入車にはルールが適用されないのか疑問に思い、取材を進めた。

「今のところ国産車のみ」という表現だが、正確には「9月時点でWLTCモード燃費の表示義務がないなか、各メーカーが自主的に公開している」という状況。そもそも今日現在WLTCモード燃費の値は出す必要がないため、輸入車に適用されていないと考えるのは誤解なのだ。

国土交通省によると、10月からは輸入車も含めて、日本で発売される新型乗用車(フルモデルチェンジ、マイナーチェンジを含む)は義務付けられるとのこと。なので、アメリカ車であろうがヨーロッパ車であろうが、10月以降に登場する新型車であれば、WLTCモードの燃費が表示されることになる。

より実際のカーライフに即した比較ができるようになるかもしれない

輸入車のJC08モード燃費は国産車と比べて低い傾向にあるが、WLTCモード燃費が導入されることで、国産車と輸入車の燃費差が縮まってくることが予想される。

ちなみに、2018年9月以前に発売されて、継続生産される乗用車に関しては、2020年の9月からWLTCモード燃費の表示が義務化される。そのタイミングで継続生産の終了等の判断を各メーカーが行うだろう。しばらくはJC08モードとWLTCモードが混在する状況となる。

次ページは : ■まとめ…WLTCモードはユーザー側の「見る目」も重要だ

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