■「静粛性の高い走り味は新鮮。8年の進化が随所にちりばめられている」(橋本洋平)
8年ものロングセールスを記録した先代エクストレイルだけに、新型の登場は何から何まで新鮮。
エンジンはVCターボを発電機とするe-POWER。低負荷走行では高圧縮、低過給で、加速に入れば瞬時に圧縮比を下げてターボにより過給圧をアップ。
そんな複雑なことをやっているとは微塵も感じさせずに、エンジン回転数はアクセルの入れ方に応じて、じわりとリニアに吹け上がるという制御で心地よい。
まるで、エンジンが遠くに搭載されているかのように感じる静粛性が得られた。
シャシーはアウトランダーPHEVと共通で、e-4ORCEもまた三菱のS-AWCと基本的に同じだが、制御は日産独自にアレンジしたというもの。
どちらかと言えば安定方向に仕立てられたイメージがあるが、少ないハンドルの操舵角でグイグイ曲がっていくところは共通。
フロントタイヤへの依存度が少なく走れるところは好感触だ。
18インチタイヤの5人乗りはキビキビとした身のこなしが運転を面白くさせていた。かつてのタフギア感が伝わるのはコレ。
一方、20インチで7人乗りのオーテックはタイヤ銘柄の違いもあってラグジュアリーな乗り味。アウトランダーと肩を並べたいのであればコッチかもしれない。
いずれも電動パワステの設定が、セルフアライニングトルクが強めの設定。砂地に入ったとしても即座に直進に戻す目的があったというが、個人的にはそれが若干クセに感じた。
いずれも従来とは別次元の乗り心地。8年の進化は、誰が乗っても即座に感じられるだろう。
●橋本洋平 採点表
・ハンドリング:8点
・加速性能:7点
・4WD性能:8点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:7点
・コストパフォーマンス:8点
(TEXT/橋本洋平)
■「3気筒とは思えないほど上質なパワーフィール。加速は痛快そのもの」(片岡英明)
タフな走りと先進性を売りにした歴代のエクストレイルは世界中でヒットを飛ばしている。その4代目は最新技術をテンコ盛りして登場した。
心臓は自慢のe-POWERになり、発電用エンジンには可変圧縮比のVCターボと名付けた1.5Lの直列3気筒ターボを採用している。
モーターも高出力だから1.8tの重量ボディを軽々と加速させ、瞬発力も鋭い。
アクセルを踏むと瞬時にパワーとトルクが立ち上がり、強いGを背中に感じながら痛快な加速を見せつける。
応答レスポンスは鋭く、低回転からパワー感が強いのでアクセルを強く踏み込まなくても流れをリードすることが可能だ。アクセルペダルを緩めて回生と減速を行うeペダルも、コントロールしやすくなった。
プラットフォームは三菱、ルノーとの共同開発。前輪駆動の2WDもあるが、主役はe-4ORCEと名付けた4WDだ。
シャシーなどの剛性は高く、足もよく動く。
サスペンションは懐が深く、軽やかなハンドリングを見せつける。高いスタビリティ能力を確保しながら、コーナーでは狙った方向にきれいに向きを変える。
S字コーナーでもロールの収束は速やかだ。
アンダーステアを上手に抑え込み、奥の深いコーナーでも上手に狙ったラインに乗せることができるから運転がうまくなったように感じさせる。
快適性も高い。段差や目地のショックを上手に受け流し、快適な乗り心地だ。
また、3気筒エンジンとは思えないほど上質なパワーフィールを身につけている。走行中はタイヤの音が気になるほど、キャビンは静かだった。
●片岡英明 採点表
・ハンドリング:8点
・加速性能:9点
・4WD性能:9点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:7点
(TEXT/片岡英明)
●日産エクストレイルG e-4ORCE主要諸元
・全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
・ホイールベース:2705mm
・車重:1880kg
・最低地上高:185mm
・最小回転半径:5.4m
・エンジン:直3DOHC VCターボ、1497cc
・最高出力:144ps/4400-5000rpm
・最大トルク:25.5kgm/2400-4000rpm
・モーター(フロント):204ps/33.7kgm
・モーター(リア):136ps/19.9kgm
・WLTCモード燃費:18.4km/L
・価格:449万9000円
コメント
コメントの使い方