ハイブリッドのほうがお得!? 新型シエンタのグレード選び
最初の選択は、2列シートの5人乗りと、3列シートの7人乗りだ。用途に応じて決めれば良いが、7人乗りには2列目シートのスライド機能も装着され、5人乗りと比べたときの価格アップを4万円に抑えた。エクストレイルの7人乗りは、5人乗りに比べて約13万円高いから、シエンタの7人乗りは買い得だ。
次はノーマルエンジンとハイブリッドの選択だ。売れ筋になるGとZでは、ハイブリッドの価格はノーマルエンジンに比べて35万円高い。ただし購入時に納める税額は、ハイブリッドが約10万円安く、実質価格差は25万円に縮まる。
そしてWLTCモード燃費を比べると、GとZ(7人乗り/2WD)の場合、ノーマルエンジンは18.3km/L、ハイブリッドは28.2km/Lだ。レギュラーガソリン価格が1L当たり160円とすれば、1kmの走行に要する燃料代は、ノーマルエンジンが8.7円、ハイブリッドは5.7円になる。そうなると8~9万kmを走ると、燃料代の節約で25万円の実質価格差を取り戻せる。
ハイブリッドはノーマルエンジンに比べてノイズが小さく、モーターは瞬発力が伴うために、加速力にも余裕がある。ハイブリッドの動力性能をノーマルエンジンに当てはめると1.8Lに相当する。低燃費とこの付加価値を考えると、ハイブリッドはノーマルエンジンよりも買い得だ。
駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを用意するが、4WDはハイブリッドのE-Fourのみになる。ノーマルエンジンは2WDだけだから、4WDが欲しいときは必然的にハイブリッドを選ぶ。4WDの価格は2WDに比べて19万8000円の上乗せだ。用途に応じて選べば良いが、後輪をモーターで駆動する4WDとしては価格を割安に抑えた。
以上のようにシエンタでは、7人乗りのハイブリッドを推奨したい。そうなると次はグレード選びだ。
制約少なく納期が早いのはどのグレード? モデル末期のホンダフリードもチェックすべきか
シエンタは全グレードに、ベーシックなX、中級のG、上級のZを用意する。XはGに比べて装備がシンプルだが、オプション設定も多く、Gに近い状態まで充実させられる。その意味ではXに必要な装備を加えても良いが、スライドドアの電動機能は左側に限られる。Gと違って右側には装着できない。
この点を考えると、最も買い得なグレードは7人乗りのハイブリッドG(269万円/2WD)だ。このグレードにオプションのパノラミックビューモニター(2万7500円)をオプション装着すると良い。
ただしGにアルミホイール(6万500円)、車内の空気を循環させる天井サーキュレーター(2万9700円)などもオプション装着するときには注意が必要だ。生産開始が2023年4月以降になり、販売店は「納期が1年に達することも考えられる」という。
開発者は「今は半導体を始めとする各種の供給が滞り、特定のグレードや仕様に限定して生産を開始している」と述べた。従ってオプション装備を多く装着したいときは、7人乗りのハイブリッドZ(291万円)を選びたい。制約が少ないためだ。
またオプションの100V・1500W電源コンセント(4万4000円)は、ほかのオプション装備とは逆に、装着しないと生産開始が2023年4月以降になってしまう。以上のように買い得グレードはハイブリッドGだが、装着を希望するオプション装備次第では、ハイブリッドZに上級化させたい。
販売店では「2023年4月以降の生産車でなければ、納期はさほど延びない。ノーマルエンジンは約3カ月、ハイブリッドでも約5カ月に収まる」という。それでもシエンタは人気車で、短期間で納期が延びることも考えられるから、購入の商談は早めに開始したい。
シエンタのライバル車はフリードだ。2023年の中盤にフルモデルチェンジする予定で、今はモデル末期の状態にある。現行型の発売は2016年で設計が古く、WLTCモード燃費は、ノーマルエンジンが17km/L、ハイブリッドは20.9km/Lだ。安全装備と運転支援機能も含めて、メカニズムはシエンタに比べて見劣りするところが多い。
しかし2列目シートの形状は、シエンタはベンチタイプのみだが、フリードならセパレートタイプのキャプテンシートを割安な価格で用意した。エンジンは4気筒だから、エンジンの音質では有利な面もある。フリードの買い得グレードは、ノーマルエンジンを搭載するG(227万5900円/6人乗り・2WD)、あるいはハイブリッドG(263万3400円/6人乗り・2WD)になる。
推奨度が高いのは設計の新しいシエンタだが、コンパクトミニバンは実質的に2車種だから、フリードと乗り比べて判断すると良いだろう。両車の良し悪しが明確に分かる。
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