個性的な魅力たっぷり!! 新型スペーシアベース対ライバル車3台 徹底比較!!

後席の使い方で選び分けられるスペーシアとスペーシアベース

スペーシアベースでは4つのモードで室内空間を自由にアレンジできるマルチボードを全車標準装備。写真はデスクのように使える上段モード
スペーシアベースでは4つのモードで室内空間を自由にアレンジできるマルチボードを全車標準装備。写真はデスクのように使える上段モード

 それなら軽乗用車のスペーシアと、スペーシアベースを比べたらどうか。基本的には同じクルマだが、スペーシアベースは軽商用車だから、後席をコンパクトに格納できる。この状態では、荷室長が1205mm、荷室幅は1245mm、荷室高は1220mmになり、エブリイバンには及ばないが、スペーシアよりは荷物を積みやすい。

 さらに後席を格納せずに背もたれだけを倒すと、ベンチのようになる。マルチボードをデスクのように使うと、リモートワークのスペースとしても活用できる。マルチボードの高さを変えて、前席をリクライニングさせて連結すると、車内が平らな空間になる。クッションを利用してデコボコを埋めると、車中泊にも使いやすい。

 その代わりスペーシアベースでは、後席の造りは簡素化された。軽商用車の規格に沿って、後席よりも荷室面積を広く確保したから、後席を使うと足元空間が大幅に狭い。後席は緊急用で、実質的に2人乗りだ。

 つまり軽乗用車のスペーシアをベースに、車内の中央から後部の使い勝手を多彩に変更したのがスペーシアベースと考えれば良い。この機能を得るため、軽商用車の規格を活用した。

 スペーシアベースの価格は、スペーシアの標準ボディとほぼ同じだ。従って4名で快適に乗車できる後席が欲しいときには軽乗用車のスペーシア、2名以内の乗車で、リモートワークや車中泊を楽しみたいならスペーシアベースと使い分けられる。

 そしてさらに広い荷室が欲しいときは、エブリイバンを検討する。エブリイには、5ナンバー車として届け出される軽乗用車のワゴンもあり、後席の快適性を向上させたり、装備を充実させることも可能だ。

スペーシアベースと成り立ちが近いホンダN-VANの特徴とは?

N-VANは、センターピラーレスドアを採用。助手席側開口部幅は1580mmを実現。シートアレンジでは、運転席を除いた車内全体がフラットな荷室になる
N-VANは、センターピラーレスドアを採用。助手席側開口部幅は1580mmを実現。シートアレンジでは、運転席を除いた車内全体がフラットな荷室になる

 このほかスペーシアベースに似た軽商用バンとして、ホンダN-VANもある。N-BOXの派生車種だから、成り立ちはスペーシアベースに近い。ところがN-VANの事情はもっと切実だ。かつてホンダは、エブリイバンのような専用設計のアクティバンを自社開発していたが、コストで折り合いが付かずに生産を終えた。

 そこでN-BOXをベースに、コストを抑えて開発されたのがN-VANだ。前輪駆動のN-BOXをベースにした軽商用車なのに、後輪駆動のアクティバンのユーザーまでカバーせねばならない。つまりN-VANは、エブリイバンのあるスペーシアベースと違って、ホンダの軽商用バンを1車種で背負って立つ存在なのだ。

 ただしスペーシアベースとエブリイバンの比較で述べた通り、N-VANの荷室長は、エンジンをボディの後部に搭載したアクティバンに比べて大幅に短い。

 そこでN-VANは、助手席まで後席と同じように小さく格納できる構造とした。助手席、後席ともに座り心地は悪いが、運転席以外をすべて平らな荷室として活用できる。左側のピラー(柱)はドアに埋め込み、前後のドアを両方ともに開くと、開口幅が1580mmまで広がる。

 助手席と後席を畳めば、リヤゲートではなくボディの側面から、長い荷物を積める。最大積載量もグレードによっては350kgを確保したから、200kgのスペーシアベースに比べて重い荷物に対応できる。

 このようにN-VANは、N-BOXをベースにしながら数々の工夫を施して、アクティバンの代わりを務めようとしている。今のホンダでは、小型/普通車も含めてN-VANが唯一の商用車になったから、まさに大黒柱的な存在だ。

 以上のように、スペーシアベース、エブリイバン、軽乗用車のスペーシア、そしてN-VANは、全長や全幅、エンジン排気量はすべて共通だが、与えられた使命はそれぞれ異なる。軽自動車の世界は広く、日本独自のカテゴリーとして、多くの人達を魅了している。日本の生活に欠かせない存在になっている。

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