ホンダ N-VANを意識したかのうように登場した新型スペーシアベース。人気のスペーシアをベースにした商用車だが、車中泊やテレワークもデキる装備など、遊び心満載のデキで大注目の一台である。
でも実際エブリイで車中泊を楽しんでいる人的にはスペーシアベースはどう映るのか!? 今回はメリットとデメリットをご紹介! 結構イイぞこれ!!
文/山本晋也、写真/SUZUKI、ベストカーWeb編集部
■ボンネットバン市場がアツい!? ホンダに続いてスズキも再参入
スズキから登場した、新しいカタチの軽商用車「スペーシアベース」が話題だ。
新しいカタチと表現すると「いやいや、スペーシアカスタムと同じガワだから新しいというのは間違いでしょう」と思うかもしれないが、4ナンバーの商用車としてみると、現行ラインナップでは不在だった「ボンバン(ボンネット・バンの略称)」の復活といえる。
もっとも、スーパーハイトワゴン的シルエットのボンバンとしてはホンダN-VANという先達が存在しているし、現在は廃盤だが少し前までダイハツもハイゼットキャディーというモデルを用意していた。
スズキにとっては新鮮なクルマといえるが、軽自動車業界としてはスズキが満を持して背高ボンバンカテゴリーに参入していきたという見方をすべきかもしれない。
■荷物運ぶならエブリイ!! スペーシアベースは超ニッチ市場で勝負
それはさておき、スズキの軽商用車としては1BOXタイプのエブリイが圧倒的な存在感を示している。スペーシアベースは決してエブリイの後継モデルとして誕生したわけではない。
なぜならスペーシアベースは最大積載量が200kgで、軽商用車の上限である350kgに届かないスペックだからだ。純粋にモノを運ぶクルマとして考えると、そのポテンシャルはエブリイに遠く及ばないといえる。
保守本流といえるエブリイではカバーできない趣味性の領域などニッチなニーズを満たすためのモデルというのが、スペーシアベースの狙いといえる。
【エブリイ比較】燃費に乗降性&運転支援機能は断然スペーシアベース
では、スペーシアベースのスズキにおける存在意義とは? エブリイと比較して優位な部分(〇)と、そうでもないところ(×)を見ていくと、スペーシアベースの価値が見えてくるはずだ。
というわけで、筆者の考える〇なところと×なところを、それぞれ5つ列記してみた。ここからは、そう感じた理由について印象をお伝えしよう。なお、あくまでもスズキの同門対決的にエブリイバンとの比較に限った話であることはご留意いただきたい。
まずは乗降性のよさについてだが、エブリイバンのような1BOX商用車は、キャブオーバーといってエンジンの上にキャビンが載ったパッケージとなっている。つまり運転席が高いのだ。
運転中の見晴らしのよさという点ではキャブオーバーは優位だが、乗り降りではAピラーにあるアシストグリップを利用することは必須というオーナーも少なくないはずで、完全に乗用車の乗降性を持つスペーシアベースは、とくに高齢ドライバーになると価値を感じることだろう。
つづいてACCの設定について。スペーシアベースの上級グレードには渋滞にも対応した全車速型の追従クルーズコントロール(ACC)が標準装備されている。
エブリイもステレオカメラを使った衝突被害軽減ブレーキは標準装備となるがACCの設定はない。
通常の軽商用車は市街地での配送に使われることが多いのでACC非設定は納得だが、軽商用車をレジャーユースに利用するユーザーは長距離ドライブをすることも多く、ACCの設定はスペーシアベースの価値となるだろう。
長距離を走るほどに影響してくるのが燃費性能だ。スペーシアベースのFF車においては21.25km/L(WLTCモード)という軽商用車ナンバーワンの燃費性能を誇っている。
これには駆動ロスの少ないFFパッケージと、エンジン回転数を抑えることのできるCVTというメカニズムが効いているのだろう。CVTの採用は走行時のノイズ低減も期待でき、クルマを遊びの道具として使おうというユーザーからするとメリット大であろうし、乗用車から乗り換えてもストレスは少ないはずだ。
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