疲れが溜まっている時にはアルコールが抜けにくい
1時間にアルコールが体内で分解される量の目安とされているのが、体重(kg)×0.1。体重が50kgの人なら5gということになる。しかし、体格、体質、性別、年齢、体調などによってその時間は大きく変わってくる。
これはあくまでも目安だが、一般的にビール500ml(中ジョッキ約1杯)を摂取したら、4~5時間以上はアルコールが残ってしまうことがわかっている。
寝不足だったり、肉体を酷使した後にお酒を飲んだ時は要注意だ。肉体疲労はアルコールの分解スピードを低下させることがわかっているからだ。そのため、疲れが溜まっていると感じた時には、たとえ飲酒量が少なく、十分な睡眠をとったとしても体内にはたっぷりとアルコールが残っている可能性も考えられるため、翌朝に運転をすることは避けよう。
もちろん、日付変更線を超えて飲酒をしていたなどの深酒をした場合は、疲れていなくても翌朝の運転は厳禁だ。
嘘がいっぱいのアルコール抜きの都市伝説
飲酒運転はしてはいけないことはわかっている。しかし、誘惑に負けて飲んでしまった……。そんな時にすがりたくなるのが、「アルコールを素早く抜く方法」だろう。どこで聞いたかは覚えてはいないものの、いくつかの方法を知っている、または、「効く」と信じて疑わず、実践しているという人もいるのではないだろうか?
しかしながら、あたかも医学的な裏付けがあるように流布されているアルコールを素早く抜く方法のほとんどは残念ながらまったく効果なしの都市伝説的な方法だ。ここから代表的なものをいくつか紹介しよう。
●水を大量に飲んでトイレに行きまくる
アルコールは肝臓で約90%以上が処理(代謝)され、尿や汗から排出される量は非常に少ないため、いくら頻繁にトイレに行ってもアルコールが抜けることはない。また、肝臓内でアルコールが分解される速度が速まることもない。
とはいえ、飲酒中に水分をとることは非常に重要。これはアルコールを抜くためではなく脱水症状になることを防ぐためだ。アルコールには利尿作用があるため、水を飲まなくてもトイレが近くなる。そこで水分を摂らずに寝てしまうと血液の粘度が上がり、最悪の場合は血栓ができて重篤な事態になることもあり得る。
●サウナや入浴で大量の汗をかく
大量に飲酒すると汗が酒臭いなどと言われることがあるため、汗を大量にかけば汗とともにアルコールがどんどん抜けていると信じている人も多いのでは? これは大間違いどころか、大変危険な行為。
サウナや入浴で大量の汗をかくと脱水症状が進行して、アルコールの排出に必要な水分が足りなくなり、逆にアルコールが抜けにくくなる。
また、前項と同様、血栓などができやすくなるだけではなく、血圧が急激に上昇して脳卒中など、血管系の重篤な疾患に見舞われる恐れもある。
サウナ同様、ジムで汗を流すようなことも大変危険! 飲酒後は安静第一なのだ。
汗が酒臭くなるような人は、肝臓の機能が低下していることが考えられる。肝臓が弱っていると肝臓がアルコールを分解した後に発生するアセトアルデヒドという毒素が皮膚から放散されるため、臭いがするのだ。
●仮眠をとる
クルマの中で2~3時間くらい仮眠をとって酔い覚ましをしてから帰るなんていう不届き者に遭遇した経験がある人もいるのでは?
これはまったく効果がないどころか、アルコールをより長く体内に滞留させてしまう。睡眠中は内臓が休息をとり、働きが低下することからアルコールの代謝速度は遅くなってしまうのだ。
●吐く
嘔吐はまったく効果なし。アルコールが体内に吸収されるスピードは非常に速く、90%超は1時間以内に吸収されてしまう。つまり、嘔吐する前にほとんどのアルコールは吸収されてしまっているからだ。
●ウコンなどの健康飲料やサプリメントを摂る
ウコンやヘパリーゼといった健康食品やドリンクを飲酒前に摂取するとアルコールも早く抜けると信じている人は多い。しかし、それらの食品は肝臓の働きを助けるだけで、飲酒前に飲んだからといってその直後に摂取したアルコールの分解のスピードをアップできるわけではない。
さらに残念なことに、ウコンによる二日酔いの予防効果は、医学的に明確に証明されてはいないのだ……。逆に、摂りすぎると肝機能を低下させることがわかっている。飲酒のたびにウコンを……といった習慣はやめたほうがいい。
ウコンを飲むくらいなら、肝臓の働きを助けるタンパク質を多く含む肉・魚、大豆を使用した料理をつまみにするほうがずっと体に良い。お薦めは、焼き鳥、焼き魚、刺身、枝豆、冷ややっこなどの豆腐を使った料理だ。
コメント
コメントの使い方飲酒した次の日は運転しないと決めている。
だから休日にしか飲まないね。