2026年4月、日産は北京モーターショーにおいて「テラノPHEVコンセプト」を世界初公開しました。往年の名車の名を冠した新型PHEVコンセプトは、最新のプラグインハイブリッド技術と本格オフロード走行性能を融合させ、アウトドアから都市での日常使いまで幅広いニーズに応えるモデルとして構想されています。
ただ、テラノという名前を振り返ると、日産は90年代の時点ですでに「悪路性能」と「上質感」を両立するSUVに挑戦していました。1996年に登場した「テラノ レグラス」です。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:NISSAN
【画像ギャラリー】テラノPHEVコンセプト登場を機に振り返りたい、日産「テラノ レグラス」(13枚)画像ギャラリーインフィニティの思想をクロカンに注ぎ込んだ「テラノ レグラス」
日産「テラノ」は、1986年に登場した本格クロスカントリーSUVです。海外では「パスファインダー」として展開されたモデルで、ピックアップトラック「ダットサントラック(D21型)」系のラダーフレームをベースに開発され、高い悪路走破性と扱いやすいボディサイズを両立したモデルとして人気を集めました。
当時、日産のクロカンSUVといえば、大型の「サファリ」がラインアップされていましたが、テラノはそれよりも都市部で扱いやすいミドルサイズSUVという立ち位置。骨太なクロカン性能を持ちながらも、街中でおしゃれに乗れる、まさに「パスファインダー(冒険者)」的なキャラクターで、日本のRVブームを牽引しました。
初代(WD21型)は、角ばったボディデザインと背面スペアタイヤを備えた、いかにも「クロカン」らしいスタイルが特徴でしたが、1995年に登場した2代目(R50型系)は、悪路走破性を維持しながら、オンロードでの快適性や静粛性、乗用車的な乗り味を強化。SUVが「趣味のクルマ」から「普段使いできるクルマ」へ変わり始めた時代を象徴するモデルでもありました。
その2代目テラノをベースに誕生したのが「テラノ レグラス」です。日産が北米などで展開する高級ブランド、インフィニティの「QX4」の日本版として1996年8月に投入されたもので、コンセプトは「新世代のパーソナル・スポーツ・ユーティリティ」。インフィニティの高級路線をテラノに持ち込み、クロスカントリーSUVとしての走破性と、ラグジュアリーSUVとしての快適性や上質感を両立させたモデルでした。
いまでこそ「高級SUV」は当たり前ですが、当時はまだ黎明期。国内RVブームがピークに差し掛かるなか、ユーザーの関心は、オフロード性能だけでなく車内の快適性や上質感へと向かいつつあり、レグラスはその変化に応えたモデルでした。
「快適クロカンSUV」を先取りしたレグラスの実力
ボディサイズは全長4,670mm×全幅1,840mm×全高1,730mm、ホイールベース2,700mm。ベースとなった2代目テラノのワイドボディ仕様を土台としながら、堂々としたスタンスによって、標準のテラノとは異なる存在感を放っていました。
ボディ構造にはラダーフレームをビルトインしたセミモノコック構造「モノフレーム」を採用。クロスカントリー走行に必要な高い剛性を確保しながら、オンロードでの快適性や操縦安定性も追求していました。
駆動方式は全車に「オールモード4×4」と呼ばれる電子制御トルクスプリット式フルタイム4WDを搭載。2WDから前後50対50の固定トルク配分、さらにFR固定まで、ドライバーが状況に応じて切り替えることができるもので、悪路走破性と日常域での扱いやすさを両立していました。
現在では電子制御4WDは珍しくありませんが、1990年代後半はまだ「クロカンは無骨が当たり前、乗り心地は我慢するもの」という空気が強かった時代です。そんななかレグラスは、電子制御4WDやセミモノコック構造といった先進的な技術を積極的に投入し、本格4WDの走破性を維持しながら、都会的な快適性や高級感も積極的に取り込んだSUVでした。
















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