欧州では装着義務化決定! でもいまさら日本の普通車180km/h 軽自動車140km/hの速度自主規制「スピードリミッター」に意味はあるのか?

EUでは速度リミッターの義務化が進もうとしている

BMW 330iMスポーツの最高速は電子制御リミッターによって250km/hに抑えられる。0-100km/hの加速タイムは5.8秒
BMW 330iMスポーツの最高速は電子制御リミッターによって250km/hに抑えられる。0-100km/hの加速タイムは5.8秒

 基本的に速度制限制御を実施していないと欧州車メーカーは、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、ベントレー、ロータス、ポルシェといった名だたるスポーツカーブランド。

 速度無制限のアウトバーンでの走行性能を考慮するドイツ勢に関しては、たとえばBMWは全モデルにおいて「200~250km/h」。ドイツ系のメーカーではカテゴリーに関係なく、コンパクトクラスであっても同様の設定となるようだ。

 一方、メルセデスAMGモデルについては「AMGドライバーズパッケージ」の名称で、250km/h→270km/h、300km/hに替えられるスピードリミッターの設定があるという。

 スポーツドライビングは車両や走行状況を問わず、ドライバーの安全への意識のうえに成り立っている。自動車メーカーがどのようにユーザーに対して意識づけあるいは啓蒙するかは常に難しい課題に違いない。

スピードリミッターの設定速度がパッケージオプションを選ぶと変更できるAMG各モデル。写真はS63クーペで250km/hから300km/hに変更
スピードリミッターの設定速度がパッケージオプションを選ぶと変更できるAMG各モデル。写真はS63クーペで250km/hから300km/hに変更

 自動車メーカーとして速度抑制制御について一歩踏み込んだのが、積極的に安全性向上に取り組んでいるボルボだ。同社は2020年5月に、2022年7月以降に販売するすべての新車に関して、180km/hのスピードリミットを設定することを明らかにした。

 日本市場においては、2020年夏から秋にかけて発売した2021年モデルより、180㎞/hの最高速度制限が入っている。 このうち、2022年に追加発売したC40 Recharge Plus Single Motorと、XC40 Recharge Plus Single Motor (いずれも電気自動車)は、最高速度が160㎞/h制限されているという。

 さらに車載カメラなどを利用した画像処理による標識認識システムやGPSなどのナビゲーションシステムなどを用いて、自動的に速度を抑制するASL(自動速度リミッター)、必要に応じて一時的な速度超過を許すオーバーライド機構、リミッターのON/OFF機能を備えるなど、ユーザーを機能に縛りつけることないような寛容さも与えているから、ユーザーが受け入れやすく配慮されている。

ボルボは2020年5月に、他の欧州メーカーに先駆けて180km/hの速度リミッターを2020年7月以降に発表された新型車に設定することを表明した。新車発売の時期は欧州市場とのずれがあるから、日本市場で詳細が明らかにされるのは今後ということになるだろうが、EUでは速度リミッター装着の義務化が進もうとしている
ボルボは2020年5月に、他の欧州メーカーに先駆けて180km/hの速度リミッターを2020年7月以降に発表された新型車に設定することを表明した。新車発売の時期は欧州市場とのずれがあるから、日本市場で詳細が明らかにされるのは今後ということになるだろうが、EUでは速度リミッター装着の義務化が進もうとしている

 すでにEUでもボルボと同様の速度抑制装置の装着義務化が進んでいる。欧州委員会は2022年7月に速度抑制システム「インテリジェント・スピード・アシスタンス」(ISA)の新車時の装着義務づけを決定している。

 機能としては、設定された制限速度を超えた場合、ブレーキ操作には介入せず、車速が設定値を下回るまで緩やかかつ段階的に制御するという。ISAが作動するとアクセルペダルが反応しなくなるが、オーバーライドを可能としてアクセルを強く踏めば加速できる設定としている。

 もし制限速度を超えて運転し続けた場合、ISAシステムは警告音を発し、ディスプレイにも数秒間警告を表示する機能を持たせている。ちなみに制限速度や付随する機能の設定内容については、個々の自動車メーカーに委ねている。

 忘れてはならないのは、速度リミッターが解除できても、自動車メーカーには厳密な耐久性の基準が存在しており、過度な負荷が加わった場合は保証の限りではないということだ。。性能を限界まで引き出すという欲望をかなえることは、ユーザーとして安全性を含めてリスクを背負うことを肝に銘じておきたい。

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