小湊鐡道の高速路線は、1997年末のアクアライン開通時に運行開始と、意外に歴史は浅い。この時、木更津を起点に川崎、横浜、羽田空港と3路線を同じ房総の日東交通とともに運行開始した。
ともに盛況なのが幸いし、近隣の五井、茂原、蘇我などから対岸の首都圏へ、渋谷、新宿、品川など多数の路線を開業するに至った。
●小湊鐡道 ちばたまライナー 千葉〜さいたま
蘇我駅東口・県庁前・千葉駅〜さいたま新都心駅・大宮駅西口
乗車・撮影日2018年5月
(記事の内容は、2021年3月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2021年3月発売《バスマガジンvol.106》『思い出の長距離バス』より
地元千葉から対岸の東京都心以外にも進出
アクアラインが開通してから20年以上が経過し、少しずつアクアラインを通らないルートにも着手し始めた。また近距離路線が多く、同社はトイレのない車両のみだったが、埼玉県へも進出したころからトイレ付き車両も導入され始めた。
この「ちばたまライナー」は2017年4月1日に開業し、ホームページにはトイレ付き車両と大きなタイトル入りで紹介された。午前午後ともに1日2往復ずつの計4往復で、朝イチの便に乗れば終点大宮駅に8時10分着。千葉市民にとって、埼玉への通勤に混雑する東京のラッシュ避けての恵まれたルートとなった。
さいたま側の運行事業者はなく1社で運行
早朝の千葉市郊外の蘇我駅に降り立つ。高速バス乗り場には大きな荷物持った多くの乗客がすでに乗車しているが、それは羽田空港行きだった。その便が発車して、次にさいたまの文字が入った車両がやって来た。
駅から工場地帯へ急ぐ早朝出勤の人たち。学生や会社員が駅へ向かって歩いている。バスは中心地へ向けて動き出す。通勤する人がまだいない県庁、そして大きなターミナルの千葉駅だ。
ここでの乗車が完了すると左折して北上し、穴川インターから高速へ入る。すでに都心に向けてのクルマが先を急いでいるが、反対方向もかなりの数のクルマが続いている。房総への行楽地へと向かっているのだろう。
湾岸線に入り、時々見える海。車内画面は行き先案内のほかには小湊鐡道らしい観光バス案内や機関車を使った里山の案内が次々と映し出され、都会人にとってはのどかで穏やかなムードの車内となる。