■このサイズで前輪駆動
一番の注目点は前輪駆動であった、ということ。一般的に小型モデルがスペースを確保するためにコンパクトなパワートレイン、前輪駆動を採用することが多い。
ホイールベース2580mm、全長4.5m超の雄大なこのクーペ・モデルが前輪駆動というのは、いまとなってはちょっと戸惑ったりするのだが、マツダの技術陣は大いなるトライをした、ということなのだろうか。
当時、「ヨーロッパ・カー・オヴ・ザ・イヤー」を獲得するなど評判を得たNSUのRo80に倣ってみたのではないか、などという穿った見方もされたりした。
4段ギアボックスと組合わされた前輪駆動クーペは、最高速度190km/hを謳うフラッグシップのような存在となった。価格のこともあり、まさしく別世界のクーペ。考えてみれば、13A型というエンジンもその後のRX-7などに使われる13B型などとは共通部分のほとんどないRX87専用エンジンのようになっている。
意欲的につくられたものは、ときとして商業的には成功しなかったりすることが多い。RX87も1000台足らずを生産しただけで、1972年、ルーチェ・サルーンとともにフェードアウトしてしまう。繰り返しになるが、最近では見る機会の少なくなった、しかし見るべきところが多い知る人ぞ知るのクーペ、なのである。
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