なぜハザードスイッチの位置は統一されないのか? 危なくないか??

昨今は以前ほどバラバラではなくなってきた

 ただ、「位置がバラバラでわかりづらい」という指摘は、メーカーのインテリア設計も承知しているようで、昨今はインフォテイメントモニターの下に、エアコン吹出口と共にハザードスイッチをレイアウトするパターンが多く、以前ほど、ハザードスイッチがバラバラではなくなってきているように思う。

 トヨタ「JPN TAXI」では、ステアリングホイールの上の左側にハザードスイッチがレイアウトされているが、基本的には、ドライバーが手を伸ばしてタッチできる位置で、なおかつ、いざというときに助手席側からも操作ができるよう、インパネの中央や、センターディスプレイの傍などに設置されていることが多い。

 車室内が横に広いクルマの場合だと、スイッチ操作は身体を乗り出す必要があるので、運転席側へ若干オフセットされることもあるようだが、緊急時にハザードスイッチを探しているようでは、危険。この傾向が浸透していくことを期待したい。

新型クラウンのインパネ。センターコンソールの真ん中に、ハザードスイッチがある
新型クラウンのインパネ。センターコンソールの真ん中に、ハザードスイッチがある

ハザードのタッチパネル化だけは避けてほしい

 昨今の新型車は、そのほとんどが、インパネの中央に、タッチパネル式の大型液晶ディスプレイを備えている。未来的なデザインで、多くの情報を得られる便利さがあるのは確かだが、ここにすべての操作が集約されてしまうのを、筆者は非常に危惧している。もちろん、各種設定などは、タッチ式でよいと思うのだが、運転中に操作することがあるオーディオ音量やエアコン操作に関しては、手探りで操作ができる物理ボタンでなければ、操作できない(=運転中に、見なければタッチできないタッチパネル操作は危ない)のではないだろうか。

 この件について、以前、某メーカーのエンジニアに取材したことがあるが、「大型タッチ式ディスプレイ採用は現在のトレンドであり、ユーザーが求めていることのひとつ。タッチパネル操作は慣れの問題、音声コントロールもある」との見解だったがが、慣れると、運転中の揺れる車内で、ブラインドでのタッチパネル操作が確実にできるようになるとはとても思えない。また音声コントロールは確かに視線も手による操作もいらないが、スイッチがあればすぐに操作できたアクションを、クルマのAIとのやりとりで操作しなければならないのは、現時点の技術では疑問を感じてしまう。

 便利になるはずのデジタル化で、扱いにくくなるのはどうかと思う。テスラ車でも、現時点はかろうじてハザードスイッチだけは物理ボタンだが、そのうち取り込まれてしまうような気もする。デジタル化を否定しているわけではなく、いまはデジタルに移行する過渡期であり、多少の矛盾は受け入れなければならないのだろうし、トレンドに乗らなければならない、という事情があるのもわかるが、自動車メーカーには、安全面の考慮を最優先してほしいと思う。ハザードスイッチがタッチ式になるようなことだけは避けてほしい。

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