最近はあちこちで、カーシェアのステーションを見かけるようになった。クルマを気軽に借りることのできるサービスが普及したことで、クルマを所有していなくとも、クルマを借りて運転する機会が増えた人も多いだろう。
ただ、クルマによって少しずつ、シフト操作の方法やスイッチ類の位置が違うため、初めて乗るクルマだと、戸惑うことも多い。筆者も仕事柄、さまざまなクルマを運転するが、初めて乗るクルマだと、運転席に乗り込んだあと、必ずスタートスイッチ探しをすることになる。同じメーカーであっても、スイッチの位置は違っていたりする。
せめて、緊急時に使用するハザードスイッチは、位置を統一してほしいものだが、なぜバラバラなのだろうか。
文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_tarou230
写真:TOYOYA、NISSAN、HONDA
使いやすく、インテリアデザインを阻害しない位置にレイアウトされるため
シフトレバーやウインカーレバー、ワイパースイッチ、ヘッドライトスイッチなど、ドライバーが使用する機会が多い操作系スイッチの位置は、もちろん適当に配置されているものではなく、人間工学を専門とする内装設計のスペシャリストが、これまでの実績や知見のもと、インテリアデザイナーと相談しながら決めている。ドライバーが正しい姿勢でシートへ座った状態でステアリングホイールを握ったときに、前後方向や高さ方向の位置が自然になるよう、決められているのだ。
もちろん、ハザードスイッチも同様。ハザードスイッチは、緊急時に使う非常に重要なスイッチなのだが、シフトスイッチやナビモニター、エアコンの温度調整やデフォッガーなどの操作スイッチに比べて、運転中の使用頻度がそれほど高いわけではなく、いわゆる「一丁目一番地」にレイアウトするのは、少しもったいない。また、目立ちすぎると、せっかくカッコよくデザインしたインテリアを台無しにされる存在でもある。
ただ、使いにくい位置にレイアウトするわけにはいかない、というデザイナーにとっては厄介な存在でもあり、インテリアデザインを阻害しないよう、それでも、とっさに操作ができる場所へ配置しているため、毎度、同じレイアウトにできるとは限らないのだ。
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