■バラード・スポーツCR-X 1983年7月〜1987年8月 尖り度90点
シビックの兄弟車としてバラードの名を冠しつつ、その実態はライトウェイトスポーツかつ燃費スペシャルでもあるという、前例のないコンセプトを打ちだして登場したのが「CR-X」だ。
燃費改善の研究用試作車として制作されたため、空力を意識してバッサリと切り捨てられたリアエンドのデザインやフェンダーやバンパーなどの高分子樹脂製パネル採用による軽量化など、独自の工夫は数多い(米国市場では燃費の良さを表現する「50マイル・カー」として発表された)。
軽量化とコンパクトなボディがもたらすハンドリングの軽快さも評価された。“CR”とNSXから受け継いだ“X”(ホンダは未知数の意としているが、英語の“EXPERIMENTAL”のXという意味も添えられているようだ)という”ダブルネーム“は伊達ではない。
余談だが、タイプR以前の高性能モデル「Si」がシビックと初設定され、後に”レーシング“の意味を加えた「SiR」グレードも生まれることになる。
■初代NSX 1990年9月〜2006年1月 尖り度85点
時代を作る“エポックメイキング”という言葉は、1990年前後の時代のなかで生まれたスポーツカーであるNSXにこそ相応しい。
ホンダ栃木製作所にNSX専用の生産工場を立ち上げ、人手による溶接工程など入念な生産管理を施すなど、日本製スポーツカーとして世界にその名を知られることになった。
開発当初から“銀”と“赤”という対立するコンセプトは、銀は標準モデルでは日常的なユーティリティを考慮したドイツ製、赤はイタリア製を意識した、サーキット走行も見据えたスパルタンな「タイプR」(2代目でNSX-Rと名を変えた)として実現した。
オールアルミ製モノコックボディを採用して、3L(後に3.2Lに向上) V6エンジン(重量配分や軽量化を意識して直4も検討されたという)を横置きとしたレイアウトなど、「他の真似をしない」というホンダの企業文化を具現した設計は、日本のスポーツカーとしての独自性を主張した。
約1万9000台が販売されたNSXはまさに名車と呼ぶに相応しく、復活した2代目も先進的なスーパースポーツとして、いまもなお存在感を示し続けている。
コメント
コメントの使い方