■斎藤聡があえて3ペダルMTで乗りたいクルマ3選
一見するとATと相性のよさそうな3台ですが、MTに乗ると、クルマを手足感覚で操ることができるのに驚くと思います。
このなかでフェアレディZ(日産)はターボ化し405psものパワーを得ているのでATとの相性がいいのでは? と思われるかもしれません。
ところが、このターボエンジン、ピックアップがよくターボのレスポンスがいいのでNAエンジンに近い感覚で走れるのです。
しかもNAほど細かなアクセルの操作に対してシビアではないので、感覚的にはよりイージーに走れます。405psを自ら引き出しコントロールしている征服感は格別です。
RF(マツダ)はロードスターに比べ重心が高く、また足回りもしなやかなので、ロングツアラー的な匂いを持ったクルマですが、走らせるとロールが大きめに出る分、重心の位置がわかりやすく、自らギアを選んで走るMTはイメージするより密な一体感があります。
意外なのはN-VAN(ホンダ)かもしれません。確かにATのほうがイージーに走れると思います。けれども少しでも遊びや趣味の気分があるならMTを薦めます。カチッと決まる絶妙なタッチのシフトを操作する、その作業自体が楽しくなっているのです。
S660用に開発した6速MTをターボではなくNAに設定したところにホンダの企みを感じます。
■トヨタがEV用3ペダルMTを開発中!?
2022年2月に業界を騒然とさせたトヨタが米国に申請した特許。
トヨタが提案しているのは、モーターの制御によって、あたかもドライバーがMTを操作しているような反応を実現するシステムだ。
クラッチペダルもシフトレバーもドライバーの操作を受け付け、それに対して操作感をフィードバックする。
それとともに、エンジン車のMTであればシフト操作によって生じるエンジン回転数の変化とトルク感の変動をサウンドと視覚、体感によってドライバーが感じるようにモーターを制御するのだ。
トヨタが特許申請したシステムにはシフトレバーとクラッチペダルは与えられているが、物理的なクラッチと変速機は存在しない。したがって、クラッチペダルを使わないセミATモードや、完全に自動変速していくようなATモードも再現可能だ。
ちなみに、モーターは幅広いトルク特性と回転数域を持つので、変速機が必要なのはモーターの回転可能域を超えるような速度幅に対応する時だけとなる。
ポルシェタイカンの場合は、静止から300km/hを超える高速域まで効率よく走らせるために、高速走行時用の2速を持つ変速機が必要だったのだ。(TEXT/高根英幸)
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