車種によってマチマチ? 「尿素水」補給必須のディーゼル車も
電動化への道筋は、しかしまだ道のりが長い可能性はある。だが、ディーゼル車も今日のユーロ6に適合させるには、排ガス装置にそれなりのコストを掛けないと達成できない。その象徴的な事件が、フォルクスワーゲンのディーゼル排ガス偽装問題だ。
直噴ガソリンエンジンと同等の排ガス基準を実現するには、EGR(排気再循環装置)と尿素SCR(選択触媒還元)という排ガス対策が不可欠だ。
この方式は、ダイムラーと日産ディーゼル(現在のUD)が率先して採用してきたが、コストが掛かるため、他の自動車メーカーは採用に消極的だった。しかし、それによって排ガス偽装という不祥事に至るのである。
今日では、コストを掛けてもEGRと尿素SCRを装備しないと、ディーゼル車は売れない状況にある。
それに対し、マツダはEGRを採用するが、尿素SCRは用いずに現在のポスト新長期規制を達成している。原理原則に基づいたエンジン開発の成果だ。それがSKYACTIVである。
ガソリン車と最新ディーゼル車 排ガスレベルと日欧の実態は?
また、原油を精製してガソリンを作る際、軽油や灯油といった他の石油製品も同時に生産され、出てくる。したがってガソリンだけでなく、軽油も国内で消費するのが、CO2排出量の抑制と、地産地消の観点からも有益であるとマツダは説明する。
一方で、ガソリンエンジンも直噴化されたことで、従来はディーゼルからのみの排出であったPM(粒子状物質)が排出されるようになり、現在のポスト新長期規制ではガソリンエンジンもPM規制の対象となっている。
たとえ最新の規制を満たしていても、排ガスがゼロになったわけではない。まして、欧州に比べ人口密度の高い日本においては、都市部に再び大気汚染が発生する可能性がなくはない。実際、首都圏では、冬の晴れた日の地平線沿いにスモッグによる褐色の空が再び現れはじめている。
日本が電動化によるハイブリッド車を牽引してきたように、さらなる電動化による電気自動車(EV)の普及を促進することが、CO2排出量の削減に加え、大気汚染を防止することを両立できるのである。そこに、欧州は気付きはじめている。実際、欧州市場で消費者のディーゼル離れが起きているのもそのためだ。
一方、ガソリンのオクタン価の問題で、日本においては輸入車のほぼすべてがプレミアムガソリン仕様となっている。欧州では、欧州のレギュラーガソリンで乗れている車種が、日本ではプレミアムガソリン仕様となってしまうのである。このため、燃料代を安く上げたい人を中心に、ディーゼル化に動いている節がある。
高価な輸入車に乗りながら、燃料代を節約するのかとも思えるが、小型車などで日本車と競合する車種であれば、燃料代を安く上げたい気持ちは起こる。国内におけるレギュラーとプレミアムの棲み分けが、グローバル化できていない課題もある。
米国では、オクタン価の違いによりガソリンが数種類売られている。一方、欧州は、日米に比べ一般市街地での走行速度も速く、高速道路の制限はドイツを除き130km/hなので、やはり高速走行が多くなる。そこから、レギュラー仕様のオクタン価が定められているのだろう。
市場性の違いも、国内の消費者が輸入車でディーゼルを選ぶ傾向を強めているともいえる。
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