■ガソリンモデル人気だけではない好調の要因とは?
けれども注目すべきは日本市場でもデリバリーのはじまったプラグインハイブリッドの296GTB&GTSは既存のガソリンモデル以上の人気を博しており、すでに納車まで1、2年待ちという状況だ。9月にデビューするマラネッロ初のSUVについても初期のガソリングレードはもちろんのこと、その先のハイブリッドグレードまで全世界からのオーダーが舞い込んでいて、新規オーダーも難しい状況にあるという。
マラネッロは来年以降も続々とニューモデルを投入する予定で、その数は26年までに15モデル! 販売台数のうち6割は電動モデル(ハイブリッドおよびEV)で内燃機関も4割あると言うから、ガソリンモデルが特に人気を博しているとは言い難い。つまり、フェラーリは電動化の進むこれからも売れ続ける。
ミクロに見ても、数年前の時点でまだ見ぬ存在だった296シリーズやSUVといった新型車を手に入れるために、まずはポルトフィーノやF8を手に入れておく必要があった、と言う顧客も多い。ガソリンモデルがどうしても欲しかった、と言う方も中にはいらっしゃっただろうが、その先の電動跳ね馬はもう要らないと彼らが思っているかというと、そういうことでもなさうだ。
今後はハイエンドブランドの電動化も一層進んでいく。フェラーリもランボルギーニもフルバッテリー駆動のEVを25年代には市場へと投入すると宣言ずみだ。そのプロセスにおいて、今、デリバリーされている最新モデルを含む過去の純ガソリンエンジン搭載車へのノスタルジーがさらに高まり、価値が上昇する可能性はもちろん高い。
けれどもそのことと、フェラーリの最新の業績が好調であることとは必ずしもリンクしないと思う。今となっては用意周到なマーケティングプランのもと、最後の内燃機関から電動化への道筋を歩んできたブランド戦略の勝利、というべきだろう。純ガソリンモデルであるかどうか、ではなく、フェラーリだから売れている。
背景には、世界の混沌がいっそう深まっていくという状況のなか、貧富の差は広がったというよりかは以前に比べて顕在化し、人々の行動が制限されるなかでひとつの有効で確実な“お金の使い道”としての高級車マーケットが潤っているという状況もあった。
いつなんどき、この活況に終止符が打たれるともかぎらない。けれどもそれまではフェラーリを筆頭とするハイエンド・ラグジュアリーカービジネスは大いに潤い続けると言っていいだろう。
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