■息を吹き返したデリカD:5もパジェロの人気には及ばず
一方、デリカはというと、こちらも一番売れたのは1990年代中盤。1994年のデリカスペースギアは7万8468台が最高だ。このうち、6万2888台が4WDモデルだったのだから、これまたオフロードRVブーム恐るべし。
しかし、その後デリカ4WDは販売が極端に低迷し、2001年に販売終了。その跡を継いだのが、2007年に登場したデリカD:5という流れだ。
デリカD:5は、タフ感のあるミニバンとして手堅く売れていたが、トヨタ、日産、ホンダの超強力なミニバン勢にかなうわけはなく、販売は徐々に低迷。フルモデルチェンジを受ける開発資金もなく、放置プレイのなかでも細々と売れていた。
ところが2019年のビッグマイチェンで、ダイナミックシールドと新型ディーゼルエンジンが投入されたことで息を吹き返し、現在は、ミニバンを超えたアウトドア車として、オートキャンプ愛好者の強い支持を受けている。
しかし、それでも販売台数はかつてとは比べるべくもない。ビッグマイチェンを受けた2019年で年間2万85台。昨年は1万4790台、つまり月間平均1000台強となっている。一部に熱烈な支持者を持つものの、かつてのパジェロブームとは程遠いのが実情だ。
■デリカミニのとっつきやすさは魅力
ただ、デリカミニには、デリカD:5より価格帯が低く、幅広いユーザー層を持つ軽ハイトワゴンであるという強みがある。
軽ユーザーは基本的にメカに対するこだわりは小さく、それより雰囲気を重視するが、デリカミニのデザインは、本家のデリカD:5よりとっつきやすくて魅力的。クルマに詳しい層も疎い層も、「これ、いいじゃない!」となる可能性が高いのではないだろうか。
なかでもダイナミックシールドの処理は秀逸だ。一見、ダイバミックシールドを採用していないように見えるが、実はバンパー樹脂部がダイナミックシールドの下側を担っている。
ダイナミックシールドは、そのエグい造形で怖いもの見たさ欲を満たしてくれるが、ダイナミックシールドを採用した三菱のeKシリーズと、姉妹車である日産のデイズ/ルークスを比較すると、販売上のアドバンテージにはなっていないと推測される。
しかし、デリカミニはダイナミックシールドの有無と無関係に、シンプルに力強くてカッコいい。
直接のライバルとなるスペーシアギアやタントファンクロスと比べても、どこか本物感があり、周囲にナメられたくない欲をしっかり満たしてくれる。オートキャンプ場でも、ライバルに優越感を抱けるのではないだろうか。
デリカミニの中身は基本的にeKクロススペース。三菱の販売網からして、そのヒットには限界はあるだろう。デリカミニの発売によって、最も割を食うのはeKクロススペースになる可能性も高い。
デリカミニのデザインは、現在の軽ハイトワゴン全ラインナップのなかで最も魅力的に見える。N-BOXよりもカッコいい(私見です)。そこから導き出される予測が「中ヒット」なのである。
【画像ギャラリー】キュートなデザインでアウトドア好き以外をもノックアウト!? デリカミニはかつてのパジェロミニの再来となるのか?(8枚)画像ギャラリー
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