カテゴリ初のハンズオフ走行ができるセレナ、渋滞時ハンズオフを廉価に実現したノア/ヴォク
先進装備に関しては、ノア/ヴォクシーには、ACCやレーンキープアシストなどのトヨタセーフティセンスを全車標準装備、また、ドライバーが意識を失っても、一定条件のもと、クルマがドライバーの救命・救護の手助けをしてくれる「ドライバー異常時対応システム」も標準搭載となる。
さらに、オプションとなる「トヨタチームメイト」では、渋滞走行中に一定条件化でハンズオフ走行が可能となる「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」、ドライバーのウィンカー操作で、周囲の安全確認の上、車線変更を手助けしてくれる「レーンチェンジアシスト」、車外からスマホの操作でクルマが駐車できる「アドバンストパーク(リモート機能付)」など、他メーカーのミドルサイズミニバンが搭載できていない先進支援技術を満載してきた。しかもオプション費用は10万円代という驚異のバリュープライスだ。
ステップワゴンも、ACCやレーンキープアシストを含むホンダセンシングは全車標準装備。渋滞時にステアリング操作をアシストするトラフィックジャムアシストや、歩行者と衝突のおそれがある場合に音とディスプレイ表示で警告、車道方向へのステアリング操作を支援する歩行者事故低減ステアリングなども備わる。ただハンズオフ機能は現時点備わっていない。現在ホンダでは、高速走行中のハンズオフを可能とする次世代のホンダセンシング360を開発中で、ステップワゴンなどの量販車への適用は、2024年以降の採用となるそうだ。
新型セレナは、最上級LUXIONに、プロパイロット2.0を搭載してきた。高速道路上の同一線内で、走行中のハンズオフが可能であり、ナビで目的地を設定し、高速道路の本線に合流するとナビ連動ルートを開始、車線変更をともなう追い越しや分岐なども含めて、ルート上にある高速道路の出口までの車線変更を支援する。
LUXION以外のグレードも、ACC、レーンキープアシストを含むプロパイロット1.0や、360度セーフティアシスト(全方位運転支援システム)は標準搭載。左右の死角や前後の死角にいるクルマも検知し、ドライバーへ通知する。ただしプロパイロット緊急停止支援システム(意識反応が得られない場合に自動停車)やSOSコール(自動で緊急通報)はメーカーオプションでの設定だ。
3モデルの先進装備のうち、最も高度な支援システムは、日産のプロパイロット2.0だ。ただ、搭載グレードの価格も最上級(LUXIONは479万8200円)。価格を考えると、10万円台のオプション価格で渋滞時のハンズオフが可能となるトヨタチームメイトでも十分、と思う人も多いだろう。ステップワゴンには、まだしばらくハンズオフの装備は期待できないため、ハンズオフも含めた先進ドライブを堪能したいという方は、ノア/ヴォクシーかセレナ、ということになる。
走行性能は、燃費重視のノアヴォクか、電動フィーリングの新型セレナか
ノア/ヴォクシーのパワートレインは、2.0L直4ガソリンエンジン(最高出力125kW、最大トルク202Nm)と、1.8Lガソリン+THS IIハイブリッド(72+70(モーター分)kW、142+185(モーター分)Nm)の2種類。WLTCモード燃費は、ガソリンが15.1km/L、ハイブリッドが23.4km/Lだ。
ステップワゴンには、1.5L直4 VTECターボエンジン(最高出力110kW、最大トルク203Nm)と、2.0Lハイブリッドのe:HEV(107+135(モーター分)kW、175+315(モーター分)Nm)の2種類。燃費はガソリンが13.9km/L、ハイブリッドが20.0km/Lだ。新型セレナは、2.0L直4ガソリンエンジン(最高出力110kW、最大トルク200Nm)と、1.4L直列3気筒ガソリンエンジン発電のe-POWER(最高出力120kW/最大トルク315Nm)の2種類。燃費はガソリンが13.4km/L、e-POWERが20.6km/Lだ。なおハイブリッドに4WD(E-Four)があるのは3メーカーのうちトヨタのみとなる。
ガソリン車の比較だと、燃費は交通環境や運転方法で、逆転も大いにありうるほど、わずかな差だが、ハイブリッドの比較では、ノア/ヴォクシーの圧勝。実際の燃費も相当に良い。これは、新規モーター、新規リチウムイオンバッテリー、新規パワーコントローラーと、すべての電動モジュールを刷新した成果であり、他社よりも一枚上手。燃費を重視する方には、ノア/ヴォクシーが答えとなるだろう。
逆に新型セレナのe-POWERは、エンジンで発電したうえで、その電気でモーターを動かして走る、という2段階となるためにロスも大きくなり、直結モードのある他社車よりも厳しい状況だ。ステップワゴンe:HEVは、高速道路ではエンジンとタイヤを直結して走行するモードがあり、理屈上は良いのはずなのだが、カタログ値にはさほど成果が表れていない。
ただ、ドライブフィーリングの面では、常時モーター走行となる新型セレナe-POWERのフィーリングが好ましい。高速走行中は、絶えずエンジンが発電を続けるが、エンジン音はかなり抑えられている。ステップワゴンe:HEVも力強い電動フィーリングだ。一方、ノアヴォクのハイブリッドは、モーター走行をするタイミングもあるのだが、加速した時のエンジン音が、「ガーガー」という音質で、ややチープに聞こえる。ハイブリッド車ときくと、走行中は静かなのを期待してしまうが、走行時の静粛性に関しては、2.0Lガソリン車のほうがはるかに静かでジェントルだった。新型セレナとステップワゴンのガソリン車には、パドルシフトが備わっており、遊び心が残されている点も、ポイントが高い。
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