未だ収束の気配を見せていないゴーン問題で、図らずも注目を浴び続けている日産とルノー。
ゴーン氏の去就や日産のお家騒動的な話題はさておき、肝心の“車”を見ると、最近ではe-POWERが好調な反面、日産全体の(日本における)ラインナップを見ると、ほぼノートとセレナしか売れていないという現状がある。自動車ファンや日産車ユーザーにとっては、こちらの方がゴーン氏の去就より余程心配だろう。
一方、ルノーの車はどうか? と言えば、日本ではニッチ向けながら、メガーヌ R.S.に代表されるスポーツモデルや基本的な車の作りこみには自動車ファンの間でも定評があり、「単純に車だけで見れば、今の日産より元気?」と思えるほど。
基本的には共通する部分も多々ある日産車とルノー車は、どこが良くてどこがダメなのか? それぞれの長所と弱点を、両社の車から見ていきたい。
文:国沢光宏/写真:編集部
ベストカー 2019年1月26日号
日本じゃ個性的すぎる!? ルノー車の「弱点」
ルノー車のアカンところは、デザインが徹底的にフランス向きだという点にある。普遍的なデザイン評価したら、フランスと関係の深い地域を除きカンペキに通用しない。
例えばアメリカ。第2次世界大戦後、日本でも「日野ルノー」として販売されていた4CVを発売しヒット。しかしその後、奇妙なデザインがまったく通用せずジリ貧になってしまい1987年に撤退することになった。
デザインのダメさときたら決定的と言っていい。ルノーはエクストレイルのプラットフォームを使い「コレオス」というアメリカを除く世界各国向けSUVを韓国工場で作り始めるのだけれど、あまりのカッコ悪さに大失敗。韓国工場が閑古鳥啼き大赤字となる。
現在この生産ラインでアメリカ向けのエクストレイル(ローグ)を生産しているのだった。もちろん、ルノーのデザインが好きな人もいます。
なかには「信頼性が低い」という人もいるけれど、こらもうルノーというよりフランス車に共通すること。当時、プジョーやシトロエンも信頼性に大きな問題を抱えていた。ただ、商品力やデザイン力があったため、ルノーよりマシだったように思う。
参考までに書いておくと、プジョーとシトロエンもアメリカ市場から撤退することになる。ユーザーのニーズに応えるという車作りが苦手なのかもしれない。
スポーツ系は今の日産以上!! ルノーの「長所」
ルノーの魅力は「ルノースポール」に集約されているかもしれません。「グランプリ」という単語発祥の地であるフランスだけにモータースポーツへの情熱ときたら世界有数。
国営企業だった「ルノー公団」時代もモータースポーツに積極参戦していたほど。競技部門が手がけた車こそルノースポールです。ラリーで大暴れした「8」や「A110」そして「5ターボ」等々素晴らしいヘリテージだ。
直近においてもA110のリバイバルやクリオ(日本名:ルーテシア)、メガーヌのルノースポールで存在感を出してます。私はルノーのデザインをまったく評価しないけれど、スポーツモデル系のルノーについちゃ大好きだったりする。なかでもシビれるの、5ターボでしょう。
そうそう。カングーに代表される「ヘンテコなクルマ」も上手。日産でカングー売ったらけっこう人気になると思う。なぜ売らないのか不思議なほど。
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