エンジン回りの都市伝説
●エンジンブレーキはエンジンの負担大
フットブレーキの負担を減らして効果的に減速を行うためのテクニックのひとつにエンジンブレーキがある。これは車速とエンジン回転数の差を利用して速度を落とす技術であり、長い下り坂などで有効だ。
そんなエンジンブレーキだが、これを多用するとエンジンに負荷が加わって寿命を短くしてしまうという都市伝説がある。果たしてこれは本当なのだろうか?
結論から言えばこの都市伝説もほぼウソ。マニュアル車でシフトダウンを行う際に、アクセルをふかしすぎるとエンジン回転数が一気に上がってオーバーレブとなり、エンジンが壊れるという可能性があるが、これは一般道で使用するエンジンブレーキとは次元の異なるものだ。
だいたい、電子制御される現代車では、エンジンブレーキのためにアクセルを戻すとエンジンへの燃料供給も絶たれるため、エンジン回転数が上がりすぎになることはまずない。エンジンに負担をかけない配慮は必要だが、それよりも適切な減速を行って事故を防ぐほうがはるかに重要だ。
●最近のクルマは慣らし運転がいらない
かつて新車には「一定期間の慣らし運転が必須」と言われていた。この慣らし運転とは、新車のうちはアクセル&ブレーキやハンドル操作を“優しく”行い、各部分、特にエンジンの構成部品を馴染ませてから本格的な使用に移行するというもの。
数多くのパーツから組み立てられている自動車には、こうした慣らしを行うのが自然とも思えるが、実は現代のクルマは以前からは考えられないほどの高い精度で組み上げられているため、特に慣らしを行わなくても本来の性能を発揮してくれるケースも多く、「慣らしは不要」と言いきるメーカーもあるほど。
だが、メーカーや車種によっては慣らし走行を推奨している場合もあり、それはタイヤでも同様だ。つまり結論は「車種によっては慣らしが必須ではないが、できればやったほうがいい」と言ったところ。また、初めて乗るクルマに対する“人間側の慣らし”も必要なのは事実。やはり新車を導入してしばらくの間はおとなしく乗るのが良さそうだ。
タイヤの都市伝説あれこれ
●タイヤの空気圧は高めがよい
一般車に装着されるタイヤには指定空気圧がある。空気圧のチェックや調整を行う際にはこの指定空気圧に合わせるのが基本だが、以前は「タイヤ空気圧は指定より少し高めにしておくと良い」と言われていた。いったいこれはなぜ?
タイヤの空気圧は走行を繰り返す、あるいは長期間停車していても徐々に低下してしまう。だからこそ定期的なチェックと補充が必要なのだが、「だったら、あらかじめ少し高めにしておけば次の補充までのサイクルを伸ばせる」との理由で高めの空気圧に設定するケースがあった。
また、空気圧を高くしておくとタイヤの接地面積が減って転がり抵抗も減少し、結果的に燃費が良くなるといったメリットも謳われていた。それが空気圧高め都市伝説の理由だ。
しかし、現在ではこの都市伝説は否定されている。タイヤは本来の指定空気圧で最高の性能を発揮するよう設計されていて、たとえ燃費が向上したとしてもその数値はごくわずか。それよりも接地面積の減少による走行安定性の低下や、段差を乗り越えた際などのタイヤ破損リスクが増加するデメリットのほうが大きい。
タイヤ空気圧は指定値で調整し、こまめなチェックと補充を行うのが王道と言える。
●ハイグリップタイヤの燃費は悪い
近年は環境に対する意識の高まりから燃費に優れたエコタイヤに注目が集まっている。エコタイヤとは、先にあげた転がり抵抗を低減しつつ、必要なグリップ力も確保したタイヤのこと。
エコタイヤで燃費性能が向上するのは事実だが、残念ながらノーマルタイヤに比べて劇的に変化するということはない。これは同時に「グリップ力の高いスポーツタイヤの燃費がそこまで悪くはない」ということも意味している。
ゴムを溶かして路面に密着させるレース用タイヤならいざ知らず、市販品のハイグリップタイヤは燃費性能も十分に考慮されている。もちろん、エコタイヤより燃費は良くないが、それはオーナーの考え方ひとつで十分に納得できる差でしかない。愛車のタイヤは自分の志向やサイフと相談して選ぼう。
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