没個性を追求したのはいいけれど…「時代先取り」が仇となった!? 名車・珍車・独創車5選

「ユーノス・コスモ」流麗なスタイルを纏った3ローターロータリーの高級クーペ

没個性を追求したのはいいけれど…「時代先取り」が仇となった!? 名車・珍車・独創車5選
全長4815mm、全幅1795mmという大柄なボディでありながら、2ドアクーペのみの設定。当時のキャッチコピーである「クーペ・ダイナミズム」を体現するスタイルは街中でも目を惹く存在であった

 バブル全盛期の90年代、当時マツダが展開していたユーノスブランドのフラッグシップとして登場し、ロータリーエンジン搭載車として世界で初めて量産された往年の名車「コスモスポーツ」と同じ名が冠されたのが「ユーノス・コスモ」だ。

 流れるようなダイナミックで美しいスタイルのボディは、大柄でありながら2ドアクーペのみの設定で、歴代コスモのなかでも初代コスモスポーツ同様のロータリー専用モデルとして、2ローターの「13B-REW」に加え、いまや伝説ともいわれる市販車初の3ローターエンジン「20B-REW」搭載のグレードも用意されていた。

 いっぽうでその燃費の悪さも伝説級で、2ローターの13Bで6.9km/L、3ローターの20Bに至っては6.1km/Lという大食漢。しかもこれはあくまでカタログスペック上での数値で、実燃費は高燃費で知られる古いアメ車ですら裸足で逃げ出すほどであった。

 バブル期を象徴するかのような華やかさを誇ったユーノス・コスモだが、1996年、ユーノスブランドの終焉とともに販売は終了。現在のところ「コスモ」の名を持つ最後のモデルとなってしまったが、新たなカタチでのロータリーエンジン復活のニュースを耳にする昨今、地球にやさしい令和の「コスモ」登場を期待してしまうのは、やや性急すぎる……だろうか?

「トヨタ・プログレ」セダンの魅力を5ナンバーボディに詰め込んだ「小さな高級車」

没個性を追求したのはいいけれど…「時代先取り」が仇となった!? 名車・珍車・独創車5選
当時台頭してきたメルセデス・ベンツ Cクラス、BMW 3シリーズに対抗するカタチで誕生したプログレ。そのデザインは渋いと評されるいっぽう、あまりに保守的すぎるという声も

 全長4700mm、全幅1700mmという、いわゆる5ナンバー枠に収まるコンパクトなボディサイズでありながら、上級車並みの2.5リッターまたは3リッターの直列6気筒DOHCエンジンを搭載(なので登録は3ナンバー)することでゆとりのある走りを実現。“小さな高級車”を目指し1998年に誕生したトヨタの4ドアセダンが「プログレ」だ。

 全色5層コートという手間のかかった塗装や本革もしくはジャガード織のゆったりとしたシート、本木目パネルが奢られたインテリアなど、各所に高品質な技法とマテリアルを惜しげもなく採用。余裕のあるパワフルなエンジンとFRレイアウトの組み合わせや、4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションが生み出す軽快かつ上質な走りも含め、その存在感はクラウンと比べても遜色のないレベルと言われるほどだった。

 特にシニア層からの高い支持を受け、誕生から実に9年間に渡るロングセラーとなったプログレだが、大型化するいっぽうのその後のクルマのムーブメントや、やや控えめで地味な印象のあるエクステリアもあってか後継モデルは登場することなく、2007年に一代限りで販売を終了。

 日本の道路事情にもマッチした“小さな高級車”というコンセプトは、今の時代にこそ見直されてもいいはずだ。

「ホンダ・オデッセイ」窮地のホンダを救い、一時代を築いたクリエイティブムーバーだったはずが…

没個性を追求したのはいいけれど…「時代先取り」が仇となった!? 名車・珍車・独創車5選
1994年に発売が開始された初代オデッセイ。それまでになかった乗用車ベースのロールーフミニバンは瞬く間に大人気となり。その後のブームをけん引することになったものの……

 バブル崩壊のあおりを受け、自動車業界全体が経営不振に揺れた90年代初め。なかでも当時、売れ線モデルがなく危機的状況にあったホンダを救ったのが、1994年に登場し、たちまち大ヒットとなった「オデッセイ」だ。

 この時代流行したミニバンのなかにあって、アコードのプラットフォームをベースにしたセダン感覚のドライブフィールと、ステーションワゴンの延長線上にある洗練されたデザイン、使い勝手のいい3列シートやヒンジタイプのドアなど、その後トレンドとなる低ルーフミニバンの先駆けとも言える存在であった。

 ところがその人気も2000年代に入ると急落。起死回生を狙い、2013年には時代のニーズに合わせ、背の低いミニバンというオデッセイのイメージを覆し、背が高く、スライドドアを搭載した仕様へと大幅なモデルチェンジを敢行した5代目が登場するも、この大胆な変更が仇となったのか、後が続かず2022年をもって販売は終了となった。

 ミニバンとステーションワゴンのいいとこ取り……、現代で言うところのクロスオーバーにも通ずるスタイルで一時代を築いたオデッセイ。“クリエイティブムーバー”というその独創的なコンセプトは、再び評価される時代が必ずやってくるはずだ。

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