被害者側にも過失があったら?
事故が発生した結果、双方に発生した損害の総額が100万円だった場合、過失割合をもとにその取り分が決定される。過失割合をもとに損害補償金の取り分が決定される。つまり、過失割合が20のほうが80万円、80のほうが20万円だ。過失が高い場合、その損害補償金だけではクルマの修理はおろか、治療費さえ賄えなく場合がある。
こうした考え方は、事故を起こした当人たちの責任の度合いを明らかにして、損害を公平に分担するためのもの。そのため、その事故における加害者と被害者が大きく二分されたとしても、被害者にも過失があれば、その責任を負うことになる。
こうした調整を「過失相殺」という。民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」(民法722条2項)と定めている。つまり、損害賠償のすべてを加害者に負わせるのではなく、被害者に過失があれば、それに相当する金額を賠償額から引く(相殺する)のだ。
相手の過失を証明するには?
過失割合を適正に算出するためには、双方の信号がどのような状態だったか、どのような走行をしていたかを証明する必要がある。事故発生からの時間が経てば、双方の記憶も曖昧になるだろうし、事故直後、供述調書、示談交渉、裁判と、事故を処理するための後行程で、明らかに信号無視をしたドライバーの主張が変わることもあるからだ。
事故時の状態をもっとも客観的に記録してくれるのは、なんといってもドライブレコーダー。ただし、例えば被害者である自分のクルマにはドラレコが装備されておらず、加害者側のクルマにはそれがあったとしても、加害者が、その映像が自身を不利にすると考えた場合、それは証拠として提出されない可能性がある。
こうした事態を避けるためにも、ぜひドラレコを装備したい。また、レンタカーなどを利用する際にも、その有無、操作方法などを、しっかり把握しておくことが必要だ。
いっぽう、もし自分が加害者、つまり過失割合の高い立場になった場合、自身が持つドラレコ映像には、自身が不利になる状況も記録されているはずだ。しかし、もしこの客観的証拠を提出しなければ、裁判などにおいては、「事実を隠蔽し、勝手な言い分を主張している可能性がある」と、判断される場合があるので注意したい。
まだある、事故を説明する客観的証拠
突然、真横から衝突された場合などは、自分のクルマのドラレコに決定的な証拠が記録されていないことがある。こうした場合には、その周囲にいたクルマのドラレコ動画に頼ることも考えられる。事故の直後、救護にあたってくれた方から、もし名刺や電話番号などを交換していたら、その第三者のドラレコ動画を入手するチャンスもあるだろう。
また、事故が発生した現場の周辺に、コンビニや飲食店などの店舗があった場合、その防犯カメラに頼ることも考えられる。一般には公開されていない映像であっても、警察や弁護士などに相談して、その動画を提供してもらうことは不可能ではない。
ちなみに、防犯カメラに収められた動画の保存機関は、その機種やサーバのスペックによってさまざま。もし事後が重篤なものであり、相手とトラブルになる可能性が高いと感じた場合には、早々に手を打ったほうが良いだろう。
こうした動画による証拠以外にも、警察による実況見分調書や供述調書などは、過失割合を判定するための重要資料として欠かせない。
どんなに安全運転を心がけていても、事故が発生する可能性は常にある。万が一事故が発生してしまった場合の備えとして、任意保険の加入やドラレコの装備など、万全を期して運転に臨んでいただきたい。
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コメント
コメントの使い方青は進んでも良いだから、たとえ信号無視の車が突っ込んできてもお互い悪いので10:0はあり得ない。と大真面目に語るような輩は、自身が信号無視の車に突っ込まれたときに、絶対に10:0を要求することでしょう。
過失割合というのは、民事。それがわかっていない人結構いますよね。
そして、ドラレコのない時代にお互いの証言が一致しないなら、一方の証言だけを採用して「10:0」になるわけもない。たとえぶつけられた側が「さけようがなかった!」と<事実>を主張していたとしてもそれは証明できないなら過失ゼロでないのは仕方のないことでしょ(まあ実際は、道交法守っていればさけれたケースもおおいだうけど)