エンジン始動後に暖機運転を欠かさなかったり、エンジンを切る前にアクセルを煽って空ぶかしをしたりなど、いまではすっかり見かけなくなった、クルマに関する仕草はいくつかある。いずれも意味があってやっていたことだが、時代の流れとともに必要なくなり、滅び去っていった仕草も多い。
ただ、「そんなこともあった」ことは覚えておきたい!! ということで、昭和平成のドライバーなら、「あった、あった!!」と感じるであろう、クルマに関する仕草をいくつか振り返ってみよう。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Павел Феоктистов
写真:Adobe Stock、写真AC
料金所では、係員に見えるように1000円札を握った手をクルマから出しておく
ETCなどなかった、2000年よりも前の時代、現金支払いによる「もたつき」を少しでも緩和するため、有料道路の料金所では、係員さんに見えるように、料金ゲートの手前から1000円札を握った手を出しておいたものだった。1000円を確認した係員さんは、お札を受け取るのと同時に、釣銭とレシートを「ぎゅっ」と手渡してくれ、現金払いでも比較的スムーズに通行することができた。
いまでも、箱根のターンパイクや芦ノ湖スカイラインなどの、ETCが(クレジットカードも)使えない有人の料金所では、見かける仕草だ。お互いの動きに無駄が一切なく、最小限の停止時間で、華麗に料金所を通り抜けられる、有意義なものだった。
対向するクルマが、警察の取り締まりを知らせてくれる「パッシング」
クルマのヘッドライトを素早く点滅させる、「パッシング」。ドライバー同士のコミュニケーションとして用いられるパッシングにはいろいろな意味があるが、走行中に対向車がパッシングしてきたときの意味のなかには、「この先で警察がネズミ捕り(速度違反の取締り)をやってるよ」というものもあった。なかでも、トラックドライバーの方たちはよく教えてくれたように思う。
ただ、すっかり廃れてしまった今では、その意味を知らないドライバーも多く、対向車からパッシングをされると、「嫌がらせだ」と受け取るドライバーもいるそう。もちろん、知らせてもらわなくても、速度を守って走行するべきではあるが、「勘違い」を防ぐために、知っておいた方がいいことのひとつだろう。
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