■なぜ純正の足回りよりも快適な乗り味になったのか
スバルBRZでは車高調に交換した結果、車高を若干下げつつも乗り心地は良くなり、タイヤのグリップも引き出せて燃費やハンドリングも向上した。
なぜこのような結果になったかというと、純正ダンパーは自動車メーカーへの納入価格(車種にもよるが1本500円前後!)という制約もあり、ぎりぎりのコストで生産されている。つまり純正ダンパー&スプリングはストリート用として最適なセッティングを目指しているが、それでもそれは限られたコストの中だけのことだ。
そのためシェルケースやピストンロッドなどの剛性も限られていて、ダンパーテスターで真っ直ぐ伸縮させるのとは違い実際の走行では曲げ方向にも力がかかって、それがフリクションを発生させる大きな原因にもなっているのだ。
いっぽう、アフターマーケットのダンパーでもしっかりしたモノはケースやピストンロッドの剛性も高く、本来の性能を発揮しやすい。純正ダンパーも部品として購入すると結構な価格になるので、交換するならプラスαの予算で車高調などに交換する方が結局はお得なことになる。
スプリングについては純正のたる型形状はストロークを豊かにしてくれるだけでなくバネレートがバリアブルになって、さまざまな乗り方やシーンに対応できる点は優れている。その車種用だけで何万台も生産するから可能な手段であり、車高調に使われる直巻きスプリングは幅広い車種に対応できるのと対照的だ。
乗り心地の好みは、本当に人によって異なる。とにかく柔らかい乗り味が好きな人もいれば、ある程度しっかりしている方が乗員も酔わないし、安心できる場合もある。
ホイールをインチアップして低扁平タイヤを履かせると、タイヤホイールの剛性が高まって、サスペンションの負担が大きくなる。それが乗り心地をソフトにしてくれてタウンスピードでは快適性も向上することもあるが、そう上手くいくとは限らない。
もし今のクルマの走りに飽きた、ダンパーが抜けてフワフワするなど乗り味が気になっているなら、専門店で車高調への交換を相談してみるといいだろう。
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