■“マツダ地獄”といわれたマツダ車の値落ちは止まった?
一度マツダ車に乗ると、他社のクルマに乗り替えることができなくなる。それを自動車業界では「マツダ地獄」と呼んでいた。マツダ地獄の原因は新車販売時に大幅な値引きを行うことにより、他社での下取り(買い取り)価格が低くなってしまい、結局マツダ車を乗り継ぐというスパイラルのことを指すのだ。
実は、このマツダ地獄は2012年に登場した、マツダの新世代技術群「SKYACTIVテクノロジー」をフル搭載した初代CX-5によって終止符が打たれたのだった。SKYACTIVテクノロジーによって商品力が向上したマツダ車は大幅な値引きをしなくても、セールスが好調となったからだ。販売店のCIも変更し、長年続いたマツダ地獄から脱却したように見えた。
しかし、現在は新たなマツダ地獄が始まっているのかもしれない。表を見てほしい。新型マツダ3が公開されたモデル末期のアクセラスポーツは1年落ちの平成30年式の残価率が58.9%と低くなっている。
しかし、デミオでも64.6%、人気のSUV、CX-5は70%超えという高い残価率を示している。同じコンパクトカーのノートe-POWERが64.7%、アクアが55.4%なので、デミオの高さがわかる。しかし、3年落ちの平成28年式になると、グンと下がってしまう。この残価率の下落幅の大きさが新マツダ地獄の正体といえる。
マツダは年次改良に加えて、さまざまな改良を短いタームで行っている。しかし、その真面目な姿勢が旧モデルの残価率を下げてしまうのである。
例えば、同じモデルであっても初期型と最新型では安全性能や走行性能に大きな差が生じてしまうため、年式の進んだモデルの値落ち幅が大きくなってしまう傾向にある。
■中古の値崩れが激しいと噂のBMWは実際どうなの?
中古車相場が値崩れを起こす最大の要因は、市場に中古車が大量に出回ること。その理由は中古車には定価がないため、需要と供給のバランスによって相場が形成されているから。欲しいと思うユーザーの数に対して、莫大な量の中古車が発生すれば、中古車は値崩れを起こすということなのだ。
BMWの中古車で値崩れが起きているというので調べてみた。表のとおり、人気の高いコンパクトSUV、X1の残価率だけは、1年目で72.7%、3年目で62.6%とい高い数値となっているが、そのほかはかなり厳しい。
モデル末期の3シリーズの残価率は1年目で62.5%、3年目で46%、5年目で36.1%まで下がっている。同じドイツプレミアムブランドのメルセデスベンツCクラスでは1年目の残価率が72.7%、3年目が64.2%。そして5年目でも46.7%と高水準をキープし、BMW3シリーズに大きく水を開けているのだ。
もともと、BMW3シリーズもCクラスに近い数値だったのだが、新車の100万円を超える値引き販売、そして未使用中古車を大量に市場に流出させたために残価率が大きく下がってしまったのだ。今年は新型3シリーズが発売される予定なので、旧型となる3シリーズはさらに値落ちが進んでしまうはず。
そして最も厳しい状況なのが、2018年にマイナーチェンジを行ったBMW2シリーズアクティブツアラー。マイナーチェンジと重なった1年目ですでに59.5%。3年目で42.6%まで下がってしまっているのだ。
ドイツプレミアム御三家と呼ばれ、駆け抜ける歓びを味わえることで人気を博したBMWだが、現在は中古車相場の値崩れで苦しんでいる。
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