日本が世界に誇るスポーツカーがトヨタ GRスープラと日産 フェアレディZ。2台ともに2シーターでボディサイズもかなり近いうえ、3Lのツインターボエンジンを搭載するパワートレーンの類似性からも2台は真っ向勝負。
そこで、運転の楽しさはもちろん、安全性や快適性などクルマとして総合力が優れているのはどちらなのか、直接対決!!
※本稿は2023年1月のものです
文/斎藤聡、写真/ベストカー編集部、トヨタ、日産
初出:『ベストカー』2023年2月10日号
■シャープさが特徴のスープラ
スープラは、そのディメンションの作り込みを見ても挑戦的だと思う。
ホイールベースとトレッドの比率と重心位置で、クルマの素性は決まってしまう。その結果導き出されたホイールベーストレッド比は1.55。この数値が最適解かどうかはさておき、こうした考察からスポーツカーのディメンションを決めていくやり方はとてもユニークだし挑戦的だと思う。
できてきたクルマも、素性としてのシャープな旋回性能を備えており、資質の高さを感じさせるものだった。
操縦性の味つけのキーポイントとなっているのは電子制御デファレンシャルではないかと思う。
プロトタイプモデルでは神経質と言っていいくらいリアの動き(滑り出し)がシビアだったが、市販モデルになって大幅に緩和され、最近の年改ではさらにマイルドになっている。サスペンションの味つけは引き締まったものでダンピングはよく効いているが乗り心地は良好だ。
全体の印象としては、機敏な素性を持ったクルマをセッティングで落ち着きのある乗り味に味つけしているように感じられた。
欲を言うと、ハンドル操作に対してクルマの動きに節度感というかメリハリが足りない感じを受けた。
ちなみにエンジンは340psから387psになって猛烈にパワフルになったわけではないが、51.0kgmの分厚いトルクが作り出す加速感に見合う伸びが得られ、気持ちよいエンジンに進化した。
ここが〇:シャープな旋回特性を感じさせるシャシー性能
ここが×:クルマの動きにややメリハリが足りない印象
■絶妙セッティングが魅力のフェアレディZ
一方、フェアレディZはというと、乗用車のプラットフォームを使ったスポーツカーだが、そのセッティングに初代フェアレディZ発売以来53年に及ぶ知見が盛り込まれている。
と言ったら少々大げさかもしれないが、それでもFRスポーツカーはどんな操縦性であるべきか、作り続けてきたがゆえのチューニングが各所に見受けられる。
例えばハンドルを切り出す速さ。Zはスパッと切り出すよりゆっくりハンドルを切り出したほうがクルマの動きがしっくりくる。エンジンの重心位置とフロントロールセンターのレバー比が絶妙で、重心の高いエンジン搭載位置のハンディを上手に消しているのだ。
コーナー後半ではリアサスを適度に沈めながら安定感のある旋回を作り出している。大排気量FRスポーツに過度な機敏さは必要ないと考えているようで、グランツーリスモと言われるくらい落ち着いた操縦性がある。
けれどもその安定性がパワードリフトを含む豪快なスポーツドライビングを容易にしているのだ。
エンジンは、このビッグチェンジで405ps/48.4kgmのパワー&トルクを発揮。個人的に最も好ましく感じたのはアクセル操作に対する応答の正確さが高まったこと。パワフルなのにアクセルの微細なコントロールにきちんと応答してくれる点が好ましい。
ここが〇:大パワーFRスポーツを知り尽くした絶妙な操縦性
ここが×:メリットとの表裏なのだが、やや大味に感じるかも
コメント
コメントの使い方スープラ
ハート形に見えるリヤガラス
どうにかしてくれ
コーナーのあるサーキットタイムではスープラにかなり遅れを取るZR34でも、直線勝負ではけっこう競れるんですね。
やはり400馬力超えは大きい。雨の影響もあったのかも