制御技術の進化によって、追従型クルーズコントロール(以下ACC)やふらつき防止機能などの運転支援技術の標準搭載が進んでいます。なかには、(限られた条件下ではありますが)ハンズオフ走行までできるクルマも登場し、運転操作をクルマ側がやってくれることが増えてきました。
この間、現在の技術では、ドライバーは常に監視している必要がありますが、安全を確認していればいいわけで、システム作動中において、ドライバーは直接運転操作をする必要がありません。システムがやってくれるということは、ドライバーを誰がやっても運転操作は同じとなることが考えられ、(しつこいですがシステム作動中においては)ドライバーの運転の上手い下手は必要ないのでは、と考えられます。
制御技術のさらなる進化が考えられるなかにおいて、今後は、これまでのようなドライバーの運転上手さは必要なくなっていくのでしょうか。
文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_One
写真:NISSAN
誰が乗っても安全に走行できるクルマになってきた
本稿では「運転が上手い」というのを、昔のクルマ漫画に登場したような、峠道やサーキット、ジムカーナなどを速く走るための、いわゆるドライビングスキルではなく、日常の運転シーンにおいて、急ハンドルや急ブレーキをすることなく新幹線のような滑らかに走ることができ、高速道路での合流やレーンチェンジ、追い越しもスムーズに行えるなど、「公道においての運転の上手さ」とします。サーキットを走るわけではない多くの人にとっては、これが「運転の上手さ」であるはずです。
この運転の上手さにおいて重要なのは、速さではなく、安全かつ快適に走ることができること。ただ、冒頭で触れたように、安全かつ快適な走行に関して、現在のクルマは、制御技術によって手厚いサポートがなされており、急制動での制動距離を最小限にしてくれるABSや、スリップした際に車両挙動を安定化してくれるVSC(車両挙動安定化制御)が当たり前に搭載されているほか、(e-4ORCEなどの)駆動力配分やブレーキ制御などでヨー応答を制御することでコーナーを思い通りに曲がれたり、ACCやステアリング支援機能によって長距離運転でも疲労が少なくなるなど、誰が乗っても安全で快適に走行できるようなクルマになってきました。
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