もはや「タイヤ」の値上げは避けられないのか!? プロドライバーの視点から見た「価格は上げざるを得ない」理由とは?

もはや「タイヤ」の値上げは避けられないのか!? プロドライバーの視点から見た「価格は上げざるを得ない」理由とは?

 ブリヂストンはこのほど、国内市販用タイヤのメーカー出荷価格について夏タイヤを2023年4月1日より、冬タイヤを7月1日より6~8%値上げすると発表した。同社は2022年4月に7~10%、同年9月に3~8%値上げしており、今回が3度目の価格引き上げ。もはや原材料の価格アップやエネルギー費アップでタイヤの値上げは避けられないものなのか、プロドライバーの視点から解説する。

文/ハル中田、写真/AdobeStoc(トビラ写真:jkphoto69@AdobeStoc)、ブリヂストン

■タイヤの内部構造は非常に複雑極まりない

タイヤの内部は非常に複雑な構造となっており、ただの黒いゴムというわけではないと筆者は指摘する(sumire8@AdobeStoc)
タイヤの内部は非常に複雑な構造となっており、ただの黒いゴムというわけではないと筆者は指摘する(sumire8@AdobeStoc)

 いやーそうですか、天下のブリヂストンはまたもや値上げ、さらにはトーヨータイヤさんまで値上げですか。

 財布に厳しいですねぇ。日々のガソリン代はもちろん新車価格も中古車価格も高騰気味。スーパーでは野菜も肉も魚もすべて値上げ。庶民の味方のお手頃外食チェーンたちもいつの間にやら値上げ。あれもこれも値上げ、値上げでついにタイヤよお前もか。

 でもまぁ、しかたないですよね。燃料代をはじめとしていろいろなものが値上がればタイヤの製造運搬販売にかかる費用もすべて上がるのです。コストはうなぎのぼりなのに「価格は据え置きして涙を飲んで赤字で頑張ります……」とはできる訳もない。

「タイヤなんて黒いゴムだけだろ! そんなに影響あるか!」ですって?

 いやいや、確かにタイヤの見た目はただの黒いゴムですが、内部構造は非常に複雑です。

 場所ごとに6種類前後のゴムが使われており、各々にカーボンブラックやシリカに硫黄、そのほか多くの素材薬品が練り込まれているのです。さらには樹脂糸で編まれたベルトに金属糸で編まれたベルトに金属ビードワイヤなどなど。それらの調達先はまさに世界各地域から。

 日本の値上がりはまだマシなほうで、欧米を始めとした世界各国はもっと激しいインフレに悩んでいるところも多いのです。特にここ1年は燃料価格の混乱に拍車がかかっています。ホント何してくれんのよ、ロシアさん…。…

「どうせ便乗値上げだろ! 自分だけ儲けたいだけだろ!」

 ですって? いやいやブリヂストンさん、確かに安くはありませんがその経営体質は非常に素晴らしいですよ。ある程度内情を聞ける立場に居る身としては、世に稀に見るホワイト企業の印象しかなく暴利を貪るなんて絶対にあり得ません。

 とは言いつつ私の印象だけで語るのも薄っぺらい。「今回の値上げは妥当なのか?!」を測るのは将来予測にもなって難しいですが、「これまで直近の値上げは結果として妥当だったのか? を決算資料から読み解く」という観点で見ていこうと思います。

 ……と言いつつスミマセン、私の財務知識は素人に毛が生えたレベルで恐縮の至り。もし間違いがあれば優しく教えていただけると幸いです。日本の乗用車補修タイヤ部門単独の数値は出てないので基本的に全社数値になるのはご容赦を。

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