令和の時代にカセットやCDにMDを車内で聞くことはできるのか?「カーオーディオ」千夜一夜物語

■50連奏まで登場したCD(コンパクトディスク)

 光ディスクとなるCD(コンパクトディスク)はソニーとフィリップスとの共同開発により、1982年に登場。車載用のCDプレーヤーを初めて装備したのは「いつかはクラウン」のキャッチコピーがいまだに記憶に残る、1983年登場の7代目クラウンだった。

 CDはデジタル音源化による耐久性の劇的な向上やクリアな音質、ボタンひとつで一発選曲が可能な点など、自動車用に使うオーディオとしても多くのメリットを備えていた。

 また、元号が平成に変わった1989年あたりになると6連奏、10連奏、さらには50連奏といったCDチェンジャー(トランクなどラゲッジスペースに置くことが多かった)や、トヨタのスーパーライブサウンドシステムやBOSEといったプレミアムオーディオも登場し始めた。

■コンパクトながらCD並みの音質だったMD(ミニディスク)

MDは2DIN規格のオーディオでCDと併設されている場合も多かった
MDは2DIN規格のオーディオでCDと併設されている場合も多かった

 MD(ミニディスク)は1992年に製品化された光ディスクとなる記憶媒体である。カセットテープの後継的存在だったMDはCDに近い音質に加え、文字入力や音源の分割といった多彩な編集機能も備える画期的なものだった。

 なお、車載用MDを初めて搭載したのは1993年登場の9代目スカイライン(R33型)だった。

 MDは1990年代中盤あたりから普及が始まり、カーオーディオでもアフターマーケット品から商品が増えはじめ、純正品でも2DINのCD+MDを目にするようになった。また、日産車やホンダ車では1DINのCD+MDというものもあり、高価ながらMDチェンジャーというものも登場した。

 しかし、MDは2000年代に入ってパソコンからCDを編集できるCD-Rが登場したことより、MDにも捨てがたいところもあったものの、2000年代中盤あたりから衰退し始める。

 そして2010年代に入ると、クルマで音楽を聴く際の記憶メディアはUSBメモリや携帯音楽プレーヤーとの接続という形が台頭。現在は車載モニターとスマホとの接続で音楽を聴くだけでなく、カーナビとしても使えるなど、スマホがあれば車内でさまざまなことができる時代となった。

■現在新品が買えるカセット、MDデッキはあるのか?

MAX WINの1DINSP005(実勢価格1万5000~1万7000円)。カセットテープの再生と録画可能だ
MAX WINの1DINSP005(実勢価格1万5000~1万7000円)。カセットテープの再生と録画可能だ

 カーオーディオにおいてCDはCD-Rなどを使う人がそれなりにいるのもあり、標準装備される新車はまだあり、アフターマーケット品もそれなりにラインナップされている。

 しかし、カセットテープとMDが聴けるアフターマーケット品はめっきり聞かなくなり、新品で買えるものがあるのかどうか調べてみた(その前にアフターマーケット品を付けるクルマのオーディオが最近減っているDIN規格なのかという前提もあるが)。

 まず、カセットテープはMAX WINの1DINSP005(実勢価格1万5000~1万7000円)という商品がある。

 この商品はカセットテープ+ラジオ(FMでAM放送を聴けるワイドFMにも対応!)に加え、スピーカーがないクルマでも使えるよう、本体にスピーカーも内蔵する。

 さらにブルートゥースによるスマホとの接続、USBメモリやマイクロSDカードに対応するのに加え、カセットテープのデータをRECボタンひとつでUSBメモリやマイクロSDカードに変換して保存可能という、「アナログそうなのに現代的な機能も持つ」という二面性を備えている。

 MDを聴ける新品カーオーディオは残念ながら見つからなかった。そのため、クルマでMDを聴きたい場合は手持ちのものを直しながら使うか、中古品を探すという手しかなさそうだ。

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