■VWはID.7プロトタイプを展示
同じく中央プラザに展示されていたVW ID.7は、ほかのモデルと同じくこれがワールドプレミアとなるのだが、ハッキリ言って見せ方があまりにもヘンテコリン。
照明を落とした部屋に案内された観客は、デジタル迷彩風にカラーリングされたクルマを、ストロボライトの点滅とスモークの演出で見せられる。これじゃ実際のクルマのデザインがまったくわからない。
今年半ば市販予定なんだから、クルマはほぼ量産モデルに近いわけで、だったら「もっとちゃんと見せたほうがイイんじゃないの?」としか言いようがない。今回のCESのワースト展示と言えるかもしれない。
■サプライヤーの注目技術!
僕がCESで大いに楽しみにしているのが、サプライヤーの新技術展示。今年もアチコチ見てまわりました。
まず注目したのは「BEV時代に重要になる熱マネジメント」というテーマを掲げたヴァレオのブースだ。
今後はヒートポンプによるキャビン冷暖房とパワコンやバッテリーの温度管理が統合制御されるわけだが、そのシステムをわかりやすく見せる展示モデルが面白い。
設計が下手だと軽く10℃くらいバッテリーに温度ムラが生じるそうで、それをいかに均等に管理するかがキモ。その技術を利用して、コンピュータ冷却システムも作ってたりして、そのあたりもマニアックで面白かった。
オーディオ系で今回、感心したのはBOSEの「車内のほかの人に聞こえないハンズフリーホン」のデモだ。
BOSEお得意のノイズキャンセリング技術を応用し、ドライバー以外の席には逆位相の音を出すという理屈。デモで体感した限りでは実用上充分。その気になったらすぐ量産車に応用できると思う。
そのほか、エンジン音のしないBEVに音のアクセントをつけるという技術のデモで、ハマーEVに同乗したのもレア体験だった。
■ZFの技術をゲームで体感
駆動系の大手サプライヤーとして知られるZFは、内燃機関向け開発をすべて終了させてeアクスルに全力投球だが、今回はバイワイヤーステアリングシステムのデモが見どころだった。
ZFがスポンサーとなって走らせるレーシングカーから実写データを抽出し、それをZFのバイワイヤーステアリングを使ったレーシングゲームで追体験するという仕掛け。そのへんのゲーム用ステアリングと違って「本物」だから、操舵力や反力がめっちゃリアル。ゲーセンに導入したらバカウケだろう。
マニアックなところでは、天才オースチン・ラッセルが17歳で設立したルミナーのプレゼンがよかった。ここはLiDAR専業だが、大手サプライヤーに伍して、ボルボや上海汽車に採用されている。
ここのキモは、そのLiDARを使って走りながら3Dマップをリアルタイム生成するという野心的プロジェクト。その3Dマップが自動運転のためのキーテクノロジーになるという理屈だ。
自動運転インディカーにも、ルミナーのLiDARが使われていて、自動運転業界ではなかなか「台風の目」的存在になりつつあるような印象を受けた。
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