■北米でスバルブランドのイメージは「楽しくて燃費もいい」
国沢光宏(以下、国沢)/現在のスバルはブランドイメージが薄れ、環境対応のパワーユニットも存在しない。ストロングポイントだったアイサイトも他社の猛追を受けるなど、厳しい状況になっていると思います。
藤貫哲郎(以下、藤貫)/今後のクルマは例えば電気自動車ひとつ取っても充電時間とか航続距離など同じような基準になってきます。そんな時代になると自動車メーカーが何を考え、どんな社会貢献をできるかが大切になってきます。
国沢/そう思います。やはりブランドイメージですね。20年前なら走りだったし、10年前だと安全性でした。
藤貫/スバルというブランドの意味や価値をしっかり考えなければなりません。ひと昔前は世界的にニッチブランドだったんですが、今やアメリカだとそうも言えなくなってきました。いいお客さんもついてきており、環境などを重視しなけばならなくなりました。現状は楽しくて燃費もいいというポジションです。
国沢/具体的にどういったスバルを考えているんでしょうか?
藤貫/スバルといえば水平対向+AWDというイメージですが、電気自動車になるとモーターや電池、プラットフォームなどは基本的に同じになっていく。そこでスバルらしさが出せないかとなれば、違うと私は思ってます。
国沢/水平対向+AWDの呪縛から逃げられるということですね。
■「新しいスバルの味」はすでに完成している!?
藤貫/実はもう新しいスバルの味ができちゃっているんです!(笑)。今ここで言いたいんですが、もう少し待ってください。電気自動車ってどれに乗っても同じような味ですけど、現在開発中の次世代車は違うんです。言いたいなぁ。
国沢/私の予想ですが、コーナーで4つのタイヤにまったく同じ駆動力をかけるということでしょうか。他社のシステムって前後で違う駆動力をかけてます。いずれにしろ楽しみにしたいと思います。
藤貫/現在のスバルのイメージの薄さは人の使い方がうまく行ってなかったように思います。今後ふたつの開発のやり方をします。ひとつは今までどおりの立案した計画に沿うルーティンワーク。これだと硬いクルマしかできない。もうひとつですけど、”変わった人”が活躍できるような方向性を持ちたいんです。変わった人を優遇していきます。そうしていかないと暴れるサムライが出てこない。変わった人ってスバルのなかにたくさんいるんです。
国沢/過去、レオーネの時にスバルの技術者はみんなライバルに負けたと感じ、意気消沈した。そんな時に初代レガシィを開発した荒沢紘一さん(スバル副社長で勇退)や桂田勝さん(3代目レガシィでは開発責任者でSTI社長などを務めた)のようなサムライが出てきた。
藤貫/レールを引くのが私の仕事です。2年前から改革をスタートしたのですが、まだ変わってないじゃないかと言われる。例えば部の細分化を止めたんです。ドライバビリティと燃費性能って相反関係です。ケンカばかりしていた。でも、同じ部門にまとめたらケンカできない(笑)。
国沢/パワーユニットの将来計画についてスバルは見えてこないですね~。概要くらいはアナウンスしたほうがいいと思います。
藤貫/しかるべき時に言おうと思ってます。2023年に新中期計画を発表する時に言いたい。スポーティなクルマも欲しいと考えます。
国沢/個人的な期待ですが、スバルには新しい価値観の楽しいクルマ、新しい時代のグランドツアラーなんか欲しいな、と。
藤貫/若い世代がどんどん育ってきています。つまらない上司なんかいないほうがいいと思うくらいです。もう少しお待ちください。「みんなでいいクルマ作ろうぜ」と言うとトヨタと同じになっちゃうんですが、昔のスバルってそんだったんです。そんなスバルに戻そうと思っています。
国沢/新しいクルマ作りの方針発表、楽しみにしています!
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