最近はあまり印象に残るものがないと感じるが、かつてのクルマには「面白いキャッチフレーズ」をもったものが多かった。カタログに掲載されたりテレビCMで流されることで、そのクルマを強く印象づけるキャッチフレーズ。「いいね!」と思わせるものもたくさんあったけど、なかには「プププ……」と笑いを堪えきれないものもあったのだ。
そこで今回は「ププッ」となっちゃうクルマのキャッチフレーズをピックアップ。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/トヨタ、日産、FavCars.com
よく考えないと意味がわからない謎のキャッチフレーズ
■「街の遊撃手」 いすゞ・ジェミニ
「遊撃手」とは野球で2塁と3塁の間を守る内野手のことで、一般には「ショート」と呼ばれる。守備のカナメとも言われ、俊足・強肩・堅守を備えたフットワークに優れた選手が多い。FRからFFへ進化した1985年登場の2代目ジェミニのイメージだった「キビキビした走り」を表現したテレビCMには多くのバージョンが作られた。
複数台のジェミニがパリの街中を流れるように駆け抜け、まるでダンスを踊るようにスピンターンや片輪走行、ジャンプをするなどして視聴者を魅了。超ハイレベルなスタントシーンのオンパレードだが、選曲がチャイコフスキーの「花のワルツ」などの軽やかな名曲を選んでいることで優雅さをも感じさせた。
ただ、「ショートを守る選手のように軽いフットワークをもつクルマ」は見事に表現していたが、「街のショート」ではなんのことかわからない……。そこでキャッチフレーズに「遊撃手」と入れたことが推測されるが、野球をあまり知らない人には「街の遊撃手」と言われても「??」となったことだろう。
■「くうねるあそぶ」 日産・セフィーロ
テレビCMでは、セフィーロに乗った井上陽水が登場し、窓を開けて少しとぼけた感じで「みなさん、おげんきですかぁ〜」と言うセリフが有名。超有名コピーライター糸井重里が生んだ「くうねるあそぶ」は、その映像冒頭に文字として登場する。
保守的だったそれ以前の時代に比べ、時はまさにイケイケの時代。「食う・寝る」は人が生きていくために必要なこと。それに「遊ぶ」を加えてさらにすべてひらがなで入れたところに、時代の象徴と糸井重里のセンスを感じたものだった。
この「くうねるあそぶ」という字ヅラに「ププッ」というか安堵の「フッ」という声を漏らした人もいるだろうが、実はセフィーロの登場は1988年で、昭和天皇の病状が深刻な頃。CMの「みなさん、おげんきですかぁ〜」が「宮さん、おげんきですかぁ〜」に聞こえるとし、「不謹慎」というクレームが。その後はこのセリフなしで放映されたのだった。
コメント
コメントの使い方時代背景なんかも感じられて好きなんだけど、どこも「ププッ」となりません。バカにしてる感じが気分悪いですね。書くことなきゃ書かなきゃいいのに。